ティファニーで朝食を
1961年/アメリカ
ファースト・シーンで好き嫌いがハッキリするラブ・ストーリー
shinakamさん
男性
総合
75点
ストーリー
75点
キャスト
80点
演出
65点
ビジュアル
75点
音楽
85点
トルーマン・カポーティがマリリン・モンローを想定して書いたシリアスな人間ドラマが、オードリー・ヘップバーン主演でキュートなラブ・コメディに生まれ変わった。監督は「ピンク・パンサー」シリーズのブレイク・エドワーズ。
主題歌「ムーン・リバー」とともにイエロー・キャブでマンハッタン5番街ティファニーの前に降り立ったサングラスの女(A・ヘップバーン)が、ショウ・ウィンドウを眺めながらディニッシュとコーヒーの朝食を取るファースト・シーン。原作にはないこのシーンが好きか嫌いかでこの作品の評価はまるっきり違ってくる。
筆者は好みのシーンなので、どうしても点が甘くなるが、なにしろ50年以上前の映画なのに兎に角お洒落。孤独な生い立ちから逃れるためNYに出てきたヒロインのホリー。どうやらアッパー・イーストサイドのアパートに住むコールガールらしい。演じたオードリーは32歳でこの役には微妙な年齢だが、自身の生い立ちを想うあまり終盤の涙目は他人事とは思えなかったとか。彼女イチバンのお気に入り作品となった。
いつまでも妖精のようなエレガントな魅力のオードリーと、必死に自由を求めるために金持ちの男を見つけることに躍起になるホリーの役柄はイメージが合わないが、彼女が演じると純粋で傷つきやすい少女のような魅力へと変貌して行く。これはロスを舞台にしたジュリア・ロバーツの「プリティ・ウーマン」を観ても明らかだが、女優が演じるコールガールは本人のイメージが反映されるもの。M・モンローだったらまるっきり違った名作ができたかもしれないしラスト・シーンも原作に近いものになたことだろう。
オードリー、ジバンシー、H・マンシーニは60年代を象徴するファッションとして地盤を築き、ティファニーは高級宝飾店として世界に知らしめたことでも映画の影響力の大きさを感じる。とくにティファニーはクラッカー・ジャックのオマケの指輪にイニシャルを彫ってくれる度量を魅せたのだから。相手役の作家ポールに扮したジョージ・ペパードはヒロインに振り回される好青年ぶり。パトロンのフェレソン夫人(パトリシア・ニール)から自立する経緯も平板で可もなく不可もない印象。名のない猫が840匹から選ばれただけあってヒロインの生まれ変わりのような名演技が目立った。
我慢ならないのはミッキー・ルーニー扮するユニオシという日系人。黒ぶち眼鏡、出っ歯、チビという3拍子を揃え日本人蔑視も堂に入っていて何かとわめきたてるドタバタ調。監督の釈明は「理解不足」の一言。これが面白いと感じるセンスには共感できそうもない。
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