晴れ、ときどき映画三昧

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「バンク・ジョブ」(08・英) 80点

2015-09-10 13:02:47 | (欧州・アジア他) 2000~09

 ・ お転婆娘のために、英国最大の銀行強盗事件となったというクライム・サスペンス。

                   

 「13デイズ」(00)「ザ・リクルート」(03)「世界最速のインディアン」(05)と堅実にヒット作を生んでいるロジャー・ドナルドソン監督が、’71ロンドンで実際に起こった銀行強盗事件をもとに映画化したクライム・サスペンス。

 ウォーキー・トーキー強盗ともいわれ、事件は連日トップニュースで報じられた貸金庫を狙った300万ポンド、宝石、金の延べ板強奪事件だったが、数日後報道は一切途絶えた。

 それは政府による<D通告(国防機密報道禁止令)>が発令されたからだった。

 本作は事件をもとに、何故D通告が発令されたか、その真実とその後を解き明かすという大胆なストーリーで製作サイドは<9割が事実>というもの。

 この手の映画は「黄金の七人」(65)「ミニミニ大作戦」(69/03)など類似作品も多いが、ほとんどが名うてのプロ集団。

 ところが本作は全員素人なのがユニークで、予備知識がなければエンド・クレジットを見るまで、これが実在の事件をもとにしたとは思えない。

 強盗のリーダーはテリー(ジェイソン・ステイサム)で、赤字を抱え借金取りに怯えるガレージ経営者。モデルで昔馴染みのマルティーヌ(サフロン・バロウズ)から、装置交換のため警報が解除される銀行の貸金庫を狙うという誘いを受ける。

 集まったのは自称カメラマンのケヴィン、映画エキストラのデイヴ、詐欺師のガイ少佐、掘削専門のバンバス、ガレージ従業員エディの5人。

 何故か映画は七人の集団が最も相応しいようで、本作も七人の素人強盗団。その素人が綿密に?計画を練ったのが、バンクの二軒先のテナントを借り12メートル先の貸金庫の地下に穴を掘って奪うというもの。

 無線傍受を受けたり素人ならではの想定外もあるが、金庫破りは緊張感とユーモアのうちにラッキーにも成功する。

 本題はこれからで、そこには大金以外に裏社会のポルノ王・ロウ(TVポアロでおなじみデヴィッド・スーシエ)による汚職警官への贈賄記録、MIー5高官と下院議員のSMクラブ隠し撮り写真、そしてマーガレット王女の淫らな写真が隠されていた。

 ここで、強盗団はヤード以外に悪徳警官、政府高官、裏社会と4者に追われる羽目になる。クライマックスはパティントン駅での4つ巴の場面。

 テリーは最大の武器である秘密写真やメモを使って、海外脱出のためのパスポートを入手し、あとから狙われないための最善の策を思いつく。J・ステイサムはいつもの武闘派とは違って知恵者ぶりを発揮しているところが新鮮だ。

 MI-5を伴ったマウントバッテン卿がテリーから写真を受け取る。「あのお転婆娘・・・。」というつぶやきを残して。

 事実が全て明らかになるのは、2054年だという。見届けることはできないので、本作の9割を想像するしかない。

 マイケルXは実在の人物で、レノン・ヨーコ夫妻が支援していたというのも驚き。マーガレット王女と浮名を流したミック・ジャガーが、カメオ出演していたのはもっと驚いた。


 
 
 


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