グッドモーニング・ベトナム
1987年/アメリカ
サッチモの歌が心に沁みる
shinakamさん
男性
総合
70点
ストーリー
65点
キャスト
80点
演出
70点
ビジュアル
75点
音楽
85点
ベトナム戦争関連映画ではちょっぴり風変わりな切り口の作品を「レイン・マン」のバリー・レヴィンソンが監督。実在のDJエイドリアン・クロナウアーをロビン・ウィリアムズが演じている。
ベトナムでの兵士の士気を高めようと米本国空軍兵で人気のDJクロナウアーがサイゴンへ派遣された5ヶ月間を描いている。
戦地でのラジオは最新ニュースと癒し音楽の放送だが、ニュースには検閲があって当然ネガティブな情報はオフリミット。音楽もビッグバンドのイージー・リスニングが中心。ところがクロナウアーのDJはシャウトで始まりギャグ・ジョーク・モノマネ満載のマシンガントークとロックンロールのオンパレード。たちまち兵士たちの人気者になるが型破りのDJを上官たちは気に入らない。
R・ウィリアムズ扮する主人公は兵役義務で遠くまで派遣された普通の兵士を勇気づけるための言動で、皮肉とスラング連発は品位はないがタブーを破ることで元気になることは確かである。この喋りは台本はなくR・ウィリアムズのフリートークをいっぱいテイクしておいて、編集したらしくナンセンス・ギャグを味わうにはそれなりの知識がないとついて行けない。
それは割り切れるがベトナム蔑視が反戦の視線では描かれず、米国人の平常のベトナム感なのが見ていて辛い。かつて日本人もアジア諸国に同じ行為をしたことは拭い去れない事実だが、少なくとも差別に対しての反省はあった。
主人公も入国早々アオザイの少女を追いかけまわしたし、親戚に札びらを切って見せる。本当の友人とはかけ離れた行為だ。英会話教室も野球を楽しむことも善意だが、米国文化の押しつけともいえる。
事実をもとにしているので大胆な脚色は本意ではないだろう。予想外に評価が高いのも当時の米国感情にはベトナム少年の涙ながらの抗議が勇気ある映像だったのだろう。
救いはサッチモのWhat a Wonderful Worldをバックに映った映像はこの作品の総てを語ってくれて心に深く沁み込んでいった。
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