ゼロ時間の謎
2007年/フランス
原作に忠実なフランス製クリスティ・ミステリー
shinakamさん
男性
総合 75点
ストーリー 75点
キャスト 75点
演出 75点
ビジュアル 75点
音楽 75点
A・クリスティのミス・マープル「ゼロ時間へ」を、パスカル・トマがフランスの現代へアレンジしている。前作「アガサ・クリスティの奥様は名探偵」と比べるとマープルは出てこないが、原作に忠実で伝統的なミステリーの趣きは失っていない。そのぶん大富豪の老婦人が住む邸宅に集まるテニス・プレイヤーの甥と妻、その前妻という設定そのものに時代を感じてしまう。
叔母が何者かに殺され凶器が甥のゴルフクラブだったがアリバイがある。さて犯人は?邸宅にいる7人の容疑者をヴァカンスに来ていたバタイユ警視が捜査することに。
冒頭<ゼロ時間>とはものごとが進展するするとき、さまざまな出来事が絡み合い沸点を迎え事件は発生する。その沸点のトキを指すとバタイユ警視が説明する。バタイユはその後登場することなく7人の人脈と恋愛模様が続き、なかなか事件は起こらない。観客に犯人は誰かを楽しんでもらおうという展開だろう。叔母が殺される前弁護士がホテルで心臓発作を起こし亡くなったのも殺人だったのが、ヒントになる。
終盤で二転三転のドラマチックな展開を絵トキするシークエンスにもう一工夫が欲しかった。
P・トマは得意のコメディ・タッチに光るものがあり今回は使用人の2人の挙動がクスリとさせてくれる。バタイユも推理するとき「ホームズ、メグレ、ミス・マープル、コロンボ...」とつぶやくキャラクターだが、名探偵のわりにイカンセン出番が少ない。
出演者は大女優ダニエル・ダリューがしっかりと健在ぶりを見せていたが、他は小粒の感は否めない。「僕を葬る」でナイーブな演技を魅せたメルヴィル・プポーは大根だったことがバレてしまい、キアラ・マストロヤンニがM・マストロヤンニとC・ドヌーブの娘でローラ・スメットがJ・アリデイの娘であるという七光り女優を楽しむ作品となってしまった。
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