街のあかり
2006年/フィンランド=ドイツ=フランス
カウリスマキの視点が素晴らしい!
shinakamさん
男性
総合 90点
ストーリー 90点
キャスト 85点
演出 90点
ビジュアル 90点
音楽 85点
「浮き雲」「過去のない男」に続くアキ・カウリスマキ監督の<敗者三部作>で孤独な警備員の物語。チャップリンの「街の灯」へのオマージュ作品でもある。
友人もいないコイステイネン(ヤンネ・フーティアイネン)の夢は警備会社を起業すること。セミナーの卒業証書を担保に銀行融資を申し込み軽蔑される。唯一の理解者アイラ(マリア・ヘイスカネン)の存在も気付かない。
突然現れた金髪女ミルヤ(マリア・ヤルヴェンヘルミ)に騙されて強盗幇助罪で逮捕され、刑務所へ入っても口を割らない一途さが、彼の孤独をさらに増長させる。
ハリウッド作品とは両極にあるこの作品は、この主人公に共感できるかで好みがハッキリ分かれると思う。小津安二郎を尊敬するカウリスマキは、不器用ながら仕事をコツコツとこなし、幸せとは程遠い無口な中年男を温かく描いてゆく。その視点が素晴らしい!
自身の体験も併せ、孤独な男の切なさを見事に描写して見せてくれた。
ラスト・シーンで希望の灯りをともしているが、その後の主人公がどのような人生を送るのか?観客の想像にゆだねる以外にない。
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