・ G・ハックマンの存在感が光るポリティカル・アクション。
「刑事ニコ 法の死角」のアンドリュー・デイヴィスは外れの少ない演出に定評があり、本作のあと「逃亡者」(93)でその名を広めた監督。
主演のジーン・ハックマンは「ボニーとクライド/俺たちに明日はない」(67)、「フレンチ・コネクション」(71)を始め、長期間アクション映画には欠かせない俳優。
その2人がコンビを組んだ本作は、ベルリンからワシントンまで囚人(トミー・リー・ジョーンズ)護送を命じられた米軍曹長(ジーン・ハックマン)が巻き込まれたソ連書記長暗殺事件を巡ってのサスペンス。
東西冷戦が緩和され、核兵器問題が取り沙汰される時期にタイミングを合わせたこのドラマはG・ハックマンありきの映画で、本作で監督の目に留まりのちに「逃亡者」で名を挙げたトミー・L・ジョーンズ本来の見せ場は少なく、本格的共演と思って観ると期待外れ。
このときG・ハックマンはまだ59歳、トミー・L・ジョーンズ43歳は働き盛りの年齢で、90年代からの大活躍を予感させるもの。
共演に元妻で軍情報部中佐アイリーンにジョアンナ・キャシディ、その部下にパム・グリア、主人公ギャラガー曹長の上司ウィテカー大佐にジョン・ハード、元ヴェトナムで戦友だったシカゴの警部デニス・フランツと手堅い俳優たちが名を連ねているのも魅力。
このドラマのように米ソ間で核全廃条約が締結されていれば、21世紀はもっと豊かな世界になっていただろうと思うと、このフィクションを絵空事として観ざるを得ないのはとても残念!
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