・ M・ルグランの音楽とC・ドヌーヴが際立つフレンチ・ミュージカル。
フランス北西部にある小さな港町シェルブール。17歳の傘屋の娘と20歳の修理工が結婚を誓い合うが徴兵によって引き裂かれる。恋は儚く褪せてしまうのか?
台詞が全て歌で表現されたジャック・ドミ監督・脚本によるフレンチ・ミュージカル。
今年のカンヌ・パルムドールは是枝祐和監督の「万引き家族」だったのは記憶に新しい。
63年の受賞作である本作はカトリーヌ・ドヌーヴの出世作で、ミシェル・ルグランのテーマ曲が世界中でヒットしてスタンダード・ナンバーとなっている。
筆者と同い年のドヌーヴには後の妖艶さはなくフランス人形のような美貌のスター。公開時には如何にも女性好みの悲恋もののようで敬遠していた。
近年デジタル・マースター版となって蘇って「ラ・ラ・ラ・ランド」(16)のお手本作品として話題になったりして改めて見直す機会を得た。
オープニングの雨傘を俯瞰で捉えた色鮮やかでオシャレなシーンで始まるドラマは想像していたものより数段興味深いラブストーリー。
アメリカン・スタイルと違ってダンス・シーンは一切なく吹き替えながら全編台詞が歌なのも斬新だった。3部構成とエピローグまで無駄が一切なく、シェルブールのロケで繰り広げられ、永遠だと思っていた若き日の恋が僅か1年半で儚いものとなっていく。
運命で引き離された二人が6年後再会するガソリンスタンドのエピローグが如何にもフランス的幕切れで高評価に繋がった。
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