晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『明日へのチケット』 90点

2006-12-09 12:08:41 | (欧州・アジア他) 2000~09

明日へのチケット

2004年/イタリア=イギリス

人間への視点を3つのエピソードで綴る傑作

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 90

ストーリー ★★★★☆90点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆90点

ビジュアル ★★★★☆90点

音楽 ★★★★☆80点

カンヌ・パルムドール受賞監督エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチの3人がコラボレート。ローマへの列車を舞台にサマザマな登場人物への眼差しを一本のドラマとした。個性豊かな3人をオムニバス形式ではなくリレーのように一つの物語に纏め上げただけでも、この映画の貴重さが伺える。
E・オルミ監督はインスブルッグから乗った老教授が秘書への淡い恋心を想いながら、アルベニア移民への配慮で現実に戻る。老教授とは恐らく同世代なので、この気持ちが分かる自分が悲しい。夜汽車での食堂車ならではの設定で、ショパンのピアノ曲が印象的。
A・キアロスタミ監督はイタリアで乗った傲慢な女性と世話係の青年。車中で起きた出来事で孤独感と自立心を思い起こされる。
K・ローチ監督はスコットランドのスーパーで働く3人の青年が、休みを取ってローマへサッカーチームの応援へ行くなか、アルベニア移民との係わりで触れた暖かいエピソード。
ローマ駅でドラマは終結するが、3監督の人間に対する視点の確かさを改めて知らされる。
特に2番目のA・キアロスタミ監督のエピソ-ドが興味深い。人間は日常生活でこのような言動をとりながら日々暮らしていて、ある日突然我が身の在り方を改めて思い起こされる。
K・ローチはヒューマニストらしく、この映画を心温まるエピソードで、エンディングを爽やかに纏め上げてくれた。原題は「TICKETS」だが邦題に「明日への・・・」としたのも頷ける。



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