晴れ、ときどき映画三昧

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「マイ・ファニー・レディ」(14・米) 80点

2016-04-23 10:46:34 | (米国) 2010~15

 ・ 懐かしいスクリューボール・コメディで復活したボグダノヴィッチ。

                 

 ピーター・ボグダノヴィッチ監督といえば、70年代前半に大活躍した監督だが、久しく名前を聞くことはなかった。筆者にとっては「ペーパー・ムーン」(73)がお気に入りのお洒落な監督として印象深い。

 そのボグダニヴィッチが14年に来日して「東京国際映画祭」で公開されたのが本作で、原題は<シーズ・ファニー・ザット・ウェイ>。


 ハリウッドの新進女優イジーが、記者のインタビューで高級コールガールだった過去やブロードウェイ・デビューの経緯を天真爛漫に語り始める幕開け。

 妻デルタを主役に据えた「ギリシャ的な夜」の舞台演出家・アーノルド。娼婦役のオーディションに現れたのが、前夜共にしたコールガールの<イジー>ことグローだった。彼は不合格にしようとしたが、妻や共演の俳優セス・脚本家・ジョシュ全員が気に入って採用するはめに・・・。

 それは偶然が重なり合って複雑な人間模様を描いた、ユーモアたっぷりな男女7人の<グランド・ホテル形式>と呼ばれる群像劇へと展開して行く。

 ボグダノヴィッチは、失われつつあった善きハリウッドへのオマージュを散りばめている。

 それは「チーク・トゥー・チーク」で始まり、「ステッピン・アウト・ウィズ・マイ・ベイビー」で終わるフレッド・アステアへのリスペクトであり、イモージェン・プーツ扮するイジーは「ティファニーで朝食を」のオードリーやマリリン・モンローの女優誕生を想わせる。

 さらにオーウェン・ウィルソン演じるアーノルドの殺し文句「リスに胡桃をやるが、胡桃にリスをあげて幸せを感じてもいいじゃないか」は、エルストン・ルビッチ監督「小間使い」(46)でのシャルル・ボワイエのセリフからの引用。

 一見W・アレン風だが、シニカルさは皆無なハッピー・エンドに一役買ったのはカメオ出演のあの人。客席から驚きの声が上がるほど。

 筆者は「ペーパー・ムーン」でおしゃまな子役だったテイタム・オニールが、レストランのウェイトレスで出演していたのが懐かしかった。 
                   

              


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