ビッグ・ガン
1973年/イタリア
マカロニ・ウェスタンにゴッドファーザーを加味
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 80点
演出 75点
ビジュアル 75点
音楽 80点
「続・荒野の一ドル銀貨」のドゥッチオ・テッサリがフランコ・ヴェルッキの原案をもとに監督した伊・仏合作のフィルム・ノワール。主演に渋味が出てきたアラン・ドロンを迎え、彼のイメージを孤独な殺し屋にオーバーラップさせた最初の作品。
序盤にオルネラ・ヴァノーニの主題歌「逢いびき」が流れラブ・ストーリー風の展開。殺し屋トニー(A・ドロン)は7歳の誕生日を迎えた息子のためにマフィアから足を洗う決意をしたが、秘密を知りすぎた男を組織が放っておくはずがなく、命を狙われる。
男同士の友情と裏切りは組織の定番で、ミラノの街を舞台にカーアクションあり暴力ありのハードボイルドだが、どこか雰囲気がマカロニ・ウェスタン風味。とくに弟分を一味が車ごと殺害したり、男が女を殴るシーンは執拗で本筋を超えた残酷さが売り物としたしか思えない。
主人公が家族や故郷を大切にし、シシリー島に帰郷するなど前年の大ヒット作「ゴッドファーザー」を多分に意識したつくり。脇を固めるリチャード・コンテはゴッド・ファーザーのドン「エミリオ・バルジーニ」役なのも偶然ではなさそう。
A・ドロンはこの作品をキッカケに「仁義」「サムライ」など得意のジャンルになるだけあって一匹狼ぶりが良く似合う。本作では妻子を愛し、命を救ってくれた情婦サンドラ(カルラ・グラヴィーナ)を守り、恩義ある仲間を裏切らないなどヒーローにはうってつけの役。それだけにラストシーンが予測できてしまう。A・ドロンのファンには何度観ても堪らないシーンだろう。
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