・ 圧倒的存在感のB・ストライサンドの映画デビュー作。
今年7月に亡くなったオマー・シャリフ。「アラビアのロレンス」(62)、「ドクトル・ジバゴ」(65)の印象が強烈なエジプト俳優だが、ミュージカル映画にも出演していた。
名匠ウィリアム・ワイラーが初めて手掛けたミュージカル映画で、主演はブロードウェイのヒロインを演じていたバーブラ・ストライサンドで彼女の映画初出演でもあった。
彼女が演じるファニー・ブライスは30年代のブロードウェイ人気女優で、彼女の自伝的ミュージカルに相手役の恋人役ニック・アーンスタインに扮しているのがO・シャリフ。
2人が知り合ったのは、無名の女優だったファニーが端役を貰い、舞台で大失態を演じるが観客に大受けし、ギャンブラーのニックが劇場主に高く売りつけに成功したことがキッカケ。
ファニーは大興行主のジークフェルトに認められ、喜劇女優として売れっ子となって行くが、ニックと再会したのはボルチモアへ巡業中の1年後。
馬主でもあったニックは馬とともにボルチモアに遠征していた。NYで遭い船上での求婚、ギャンブルで大金を稼ぎ豪邸暮らしという順風満帆は永遠に続くハズはなかった。
出会いと別れはミュージカルにぴったりのテーマ。ジュール・スタイン作曲ボブ・メリル作詞の名曲に乗って歌いまくるB・ストライサンドは、とってもキュート。
その圧倒的な存在感は、ミュージカル場面を演出したハーバート・ロスの手腕もあって、まさに独壇場。
O・シャリフはその相手役でしかなかったが、単なる女好きではなく彼なりのプライドを示すところは、
彼女の後半生にとって丁度良い役割を果たしたのでは?
「ピープル」「パレードに雨を降らせないで」「ファニーガール」など数々の名曲が、B・ストライサンドの張りのある歌声とともに心地良く体内に染入ってくる感じ。
ミュージカル好きにはダンス・シーンが少なく物足りなかったと思うが、筆者のようにミュージカルを敬遠していた映画ファンには手ごろな作品だった。
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