・ フェリーニ映画の原点が随所に見られる瑞々しい初期作品。
イタリア映画の巨匠で魔術師と言われたフェデレコ・フェリーニ。「道」(54)、「崖}(55)、「甘い生活」(59)、「8 1/2」(63)など枚挙に暇がないほど、映画ファンには見過ごすことができない監督。
その彼が世界的に名を知られるようになったのが本作で、彼の自伝的要素を織り込んだともいわれる。
第二次大戦後、北イタリアの港町(リミニ)で無為な日々を送っている5人の若者たちを描いて、彼らの不安や焦燥感が浮き彫りにされて行く。
5人は最年長はまもなく30歳を迎えるファウスト(フランコ・ファブリーツィ)で、最も年下のモラルド(フランコ・インテルレンジ)の妹サンドラと結婚する。根っからのドンファンで、子供が生まれても病は治らない。
アルベルト(アルベルト・ソルディ)は母と姉の3人暮らし。定職を持たず、姉に養われている身で脆弱な空想家。作家志望のレオポルド、歌が上手いリッカルドは望みがあるがどうしたらいいか分からない。
いい大人たちが、まるで乳離れしていない子供のようだと思ったが、原題「イ・ヴィタローニ」(雄牛)は<乳離れしない仔牛>のことだった。
段々と内向的で難解なテーマとなって行くフェリーニ作品。その一連作品の面影を窺うような冒頭のミスコン、謝肉祭のバカ騒ぎや強風の浜辺など、バイタリティ溢れるシーンや詩情豊かな寂寥感が随所に見られる。
大都会へ脱出することを願うモラルドがフェリーニの分身だが、ニーノ・ロータの音楽とともに、そのラストシーンが新しい人生を予感させてくれる。
筆者には、「道」以外肌が合わなかったフェリーニ。この瑞々しい初期作品には好感を持った。
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