ハート・ロッカー
2008年/アメリカ
タイムリーなオスカー受賞
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 85点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 80点
音楽 80点
ライバル「アバター」を破ってアカデミー賞・作品賞をはじめ監督・脚本賞など最多6部門を受賞した話題作。題名「ハート・ロッカー」とはイラクでの米兵の隠語で、<行きたくない場所>とか<棺桶>を意味するそうだ。まさに爆発物処理班はその象徴の部署でブラボー中隊に赴任したジェームズ軍曹(ジェレミー・レナー)の物語。
イラクでの取材体験をもとに書き上げたマーク・ポールの脚本は、単なる反戦映画ではなく兵士達の日常から内面の心情を丁寧に描いたリアリティな物語。「k-19」以来7年ぶりに監督したキャスリン・ビグローは、女性とは思えないドライなタッチで骨太な映像をつくりあげ、見事にオスカーを獲得した。イラク戦争とは何だったのか?を改めて回想している現在、タイムリーな受賞となった。
主演のジェレミー・レナーは「スタンド・アップ」でシャーリーズ・セロンと共演したぐらいで目立った役の印象はないが、かえって複雑なキャラクターをリアルに見せている。ジェームズ軍曹を補佐するサンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)とエルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)の3人の葛藤と連携のサマも戦場での死と隣り合わせにいる兵士たちの人間ドラマである。レイフ・ファインズ(民間請負部隊長)ガイ・ピアース(冒頭爆死したトンプソン軍曹)デヴィット・モース(リード大佐)エヴァンジエリン・リリー(コニー)など著名な俳優が端役で出演しているのもリアルに見せる効果を生んでいる。
兵士達はイラク市民から冷たい目で見られながら黙々と仕事をこなす。祖国のためでもなく正義のためでもない。ジェームズ軍曹は爆発物処理に関してはヒーローだが除隊後はスーパーでの買い物すらおぼつかない平凡な男。まさに戦争は麻薬である。
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