・ ハリウッドならではのファンタジー・ドラマ。
マーティン・ブレスト監督「お達者コメディ/シルバーギャング」(79)のリメイクで、「ドリーム」「ヴィンセントが教えてくれたこと」のセオドア・メルフィが脚色、ザック・グラフが監督。原題は「GOING IN STYLE!」
マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、アラン・アーキンのオスカー俳優3人が共演する痛快コメディの触れ込みだが、3人のレジェンドに敬意を表して、ファンタジー・ドラマのテイストになっている。
長年働いていた会社の年金で平穏な老後を過ごそうとしていた3人が会社の合併で工場はベトナムへ移ることになり、従業員の年金は会社の再編費用に回されることになった。
ジョー(M・ケイン)は銀行の住宅ローンが突然3倍になり訪れた銀行で強盗に出会うが、犯人の鮮やかな手口に驚き<年寄を敬うのは社会の義務だ>といわれ被害に遭うことがなかった。
事態を解決するためウィリー(M・フリーマン)とアル(A・アーキン)を誘うが・・・。
途方もない打開策だが、筆者のような年金生活者にとってお笑い事ではない。
ジョーは出戻りの娘と孫娘と同居する家の差し押さえの危機、ウィリーは腎臓を患い手術をしないと生命の危機、アルはアニー(アン・マーグレット)に結婚を迫られているがお金がない。
企業や銀行の事情で社会システムについて行けない弱者はおいて行かれるという、現実を痛烈に批判したコメディだ。
スーパーで万引きを試したり、裏社会のギャングに弟子入り映画「狼たちの午後」でイメトレしたり <平穏な老後>のための犯罪行為はシリアスな役柄も演じてきた3人が扮しているからこそ成立している。 特にM・フリーマンはスキャンダルを払拭する役柄でアルの役でなくて良かった。
「三匹のおっさん」「はじめてのお使い」をミックスしたような邦画タイトルは人気TV番組にあやかってのことだろうが、題名でドタバタ喜劇を連想してしまいミスリードの気がする。
筆者も残された時間を「GOING IN STYLE!」で暮らして行きたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます