・ ハルストレム監督×J・デップ主演×R・デカプリオ共演のヒューマン・ドラマ。
知的障害の弟アーニーと過食症で超肥満の母親の面倒を見ながら、食料品店で働く主人公ギルバートが自身の生き方について悩み・見つめ直すヒューマン・ドラマ。スウェーデン監督ラッセ・ハルストレム、主演ジョニー・デップ、共演レオナルド・デカプリオの出世作として記憶に残る作品でもある。
映画評論家・淀川長治が<映画の詩人>と称したハルストレム監督。「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」(85)、後の「サイダー・ハウス・ルール」(99)と並ぶ彼の代表作。
7年前父が自殺、兄が家を出てしまい、アイオアの片田舎エンドーラから出たことがないギルバート。母は250キロもあって身動きが取れず、弟から目が離せないなか5人家族の大黒柱として気苦労の絶えない日々。
何かに縛られて上手く生きられない閉塞感。その象徴が人妻ベティ(メアリー・スティーンバージェン)の誘惑を断れないまま2年が過ぎていた。
弟アーニーは給水塔に上ったり、年に一度来る放浪の旅をするトレーラーを観るのが好きな自由な心の持ち主。
折しも祖母と二人でトレーラーで旅するベッキー(ジュリエット・ルイス)と出逢い、広い世界に出ていけない不自由な暮らしに葛藤するギルバート。
ピーター・ヘッジスの脚本は予定調和の感無きにしも非ずだが、家族の絆をベースに人間の在りようを絶妙なさじ加減で描いている。
主演のJ・デップは悩み葛藤する若者像を爽やかに、R・デカプリオは15歳ながら純粋な少年を綿密なアプローチで夫々好演し、後のスター街道を歩む片鱗が窺えた。
浜に打ち上げられたクジラと母を演じたダーレン・ケイツの存在もこの映画には欠かせない。’17年、69歳で亡くなったが幸せな実生活だったとのこと。子供への愛情溢れる演技は長く記憶に残ることだろう。