晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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「あなたに降る夢」(94・米) 70点

2015-06-18 14:39:48 | (米国) 1980~99 

 ・ NY好きには楽しいファンタジー・コメディ。

                   

 NYの下町を舞台に繰り広げられるパトロール警官とコーヒーショップのウェイトレスのファンタジー。’20~50年代の巨匠・フランク・キャプラを彷彿させる作りは、劇作家・コメディアンヌのジェーン・アンダーソン脚本をアンドリュー・バーグマンが監督している。

 真面目で気が優しいが上昇志向のない警官・チャーリー(ニコラス・ケイジ)。相棒ボーと昼食中に呼び出しがあり、支払いをするときチップの持ち合わせがないのに気付く。咄嗟に妻ミュリエルから頼まれ買った宝くじを思い出し、<もし、このくじが当たったら半分を君にあげる>とウェイトレスのイボンヌ(ブリジット・フォンダ)に言って立ち去る。

 これが400万ドルの大当たり!ミュリエルは大喜びするが、律儀なチャーリーは戸惑いながら約束の200万ドルをイボンヌへ渡すことを打ち明ける。

 宝くじが当たって人生が変わることは世界中で起こりうることだが、口約束を守ったという話しは滅多に聞かない。ところがこれは事実をもとにしたドラマだったという。

 事実はここまでで、あとはJ・アンダーソンのオリジナル。お金に貪欲なミュリエルは1ドルも渡さないと主張、ついにそれがもとで家を追い出されるチャーリー。

 行方不明の夫が原因で破産宣告を受けていたイボンヌ。チャーリーの誠実さに感激のあまり
受け取りを快諾するが、夢は貧しい人に施しができるレストランを持つこと以外に欲はなく、ボランティアに奔走する。

 「天使のくれた時間」(01)でも見せた善い人N・ケイジと、清潔感溢れるB・フォンダの共演ならではの展開はこんなファンタジーも心地良い。

 敵役ミュリエルのロージー・ロペスの快演とともに、怪しげな投資家役のシーモア・カッセル、進行役でもある自称エンジェルアイザック・ヘイズなど楽しそうなメンバーが盛り上げる。

 さらにトニー・ベネットなどのスタンダード・ナンバー、フランク・シナトラの挿入歌がバックに流れ、NY好きには見逃せない。

 トランプ・タワー、NY郡裁判所、市庁舎、プラザ・ホテル、ブルックリン・ブリッジ、旧ヤンキースタジアムなどを背景に繰り広げられるハッピー・エンドはセチガライ現実を忘れさせてくれた。

 主演したN・ケイジは04年、19歳のレストラン・ウェイトレスだったアリス・キムと3度目の結婚して話題となった。DV騒ぎでゴシップ誌を賑わせたりもしたが、結婚生活は続いているようだ。

 B・フォンダは人気映画音楽家ダニー・エルフマンと結婚後銀幕から引退してしまった。まだ51歳、復活して映画界の名門一族である2人の競演を見てみたい。