晴れ、ときどき映画三昧

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「アパッチ」(54・米) 70点

2014-06-18 17:51:13 | 外国映画 1946~59
 ・ 先住民の立場から描いた異色西部劇。

                   

 西部劇スターのバート・ランカスターがアパッチ族実在の誇り高き戦士・マサイに扮した異色西部劇。監督はこれが2作目のロバート・アルドリッチで、同年の「ベラクルス」を始め名コンビの作品が生まれるキッカケとなった。

 アパッチ族の酋長ジェロニモが10年に亘る戦いを終え、米政府に降伏してフロリダに移送される1886。戦士マサイは逃亡し戦いに挑もうとするが、お飾りの酋長サントスは酒浸りでアリゾナ保留地のアパッチたちは戦意を喪失してしまった。

 途中セントルイスで白人社会の街の繁栄を観るマサイがユニーク。消防車・新聞売り・レストラン・クリーニング屋・自動ピアノ・銀行など今まで観たことがないモノばかり。それが彼の心にどう映ったかは語られないが、確かに時代が変わった証しとして脳裏に焼き付いたに違いない。

 おまけに時代を受け入れ定住化したチェロキー族からトウモロコシのタネをもらい、戦い以外にアパッチの生きる道も探り当てていた。しかし仲間の裏切りに遭い、酋長の娘ナリンリを人質にして孤独の戦いに挑んで行く。

 青い眼のアパッチ族は不自然だが、B・ランカスターはサーカスのアクション・スターだった彼の特長を充分に発揮した大熱演が光る。恋人役のナリンリに扮したジーン・ピータースもただの添えモノではない役割を好演している。

 特にトウモロコシ畑でのラストシーンは印象深い。ただ結末を違うストーリーで考えていたアルドリッチには不満の残るエンディングだったようだ。彼が得意とする人間の持つ執念や憎悪が徹底的に描かれていない点では中途半端な作品。

 のちにこれを払拭するような作品をコンスタントに送り出していたが、<赤狩り>が災いし本当のダイナミックな作品は70年代以降の晩年まで待つことになってしまった。