晴れ、ときどき映画三昧

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『大いなる決闘』 65点

2012-05-17 18:11:16 | 外国映画 1960~79

大いなる決闘

1976年/アメリカ

正統派西部劇の終焉

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shinakamさん

男性

総合★★★☆☆ 65

ストーリー ★★★☆☆60点

キャスト ★★★★☆75点

演出 ★★★☆☆65点

ビジュアル ★★★☆☆65点

音楽 ★★★★☆75点

米国建国200周年記念と銘打った本格派西部劇とあるが、「マカロニ ウェスタン」で市場を失ったハリウッドが観客を取り戻そうとしてスターを起用した西部劇のひとつ。
原作はブライアン・ガーフィールドで共同脚本も手掛けていて、監督はジョン・フォードについていたアンドリュー・V・マクラグレン。
鉄道建設工事に駆りだされた囚人たちが看守を殺し逃亡。7人のうちのリーダーがジェームス・コバーン扮するザック・プロボ。彼にはトゥーソンの元保安官チャールトン・ヘストン扮するサム・バーケードへの復讐が目的の総てだった。
20世紀のアリゾナは車や電話などの文明の機器も登場、時代は変わろうとしている。引退をして娘と暮らすサムは取り残された寂しさがあったが図らずもザックの逃亡によりかつてのエネルギーが呼び起こされることに。
前半は、冷蔵貨車に身を隠したり、馬を盗み雑貨店で服を調達するザックと逃走経路を探索し大金輸送を仕掛けおびき出そうとするサム2人の知恵比べが本格西部劇の雰囲気を感じ期待充分。
ザックについてきた6人も個性がみられサムも現役の保安官とのギャップもあってこれからの展開が楽しみだった。
ところが、ザックがサムの家に押入り娘を人質にして先住民の保留地に逃げ込む辺りから雲行きがおかしくなってきた。
マカロニもびっくりな展開にJ・コバーンはただの冷酷な復讐の鬼と化し、C・ヘストンは娘を救うため追跡する老いぼれに見えてきてしまった。
娘・スーザンに扮したのは西部劇に良く出ていて近作では「ブラック・スワン」でヒロインの母親役に扮していたバーバラ・ハーシー。落馬したり、殴られたり、レイプされたりの体当たりの演技も報われず、すっきりしない展開に首をかしげざるを得なかった。結局昔の正統派西部劇では観客が納得しないだろうという理由で新しい考えの若者の登場を強調したかったのだろう。その代表が農業技師でスーザンの恋人ハル。ロバート・ミッチャムの息子クリストファーが扮している。どうも行動には納得がゆかなかった。
題名のような決闘シーンを期待する正統派には期待を裏切る結末といわざるを得ないが、新しい時代の幕開けともいえる。のちの「荒野の7人」「大脱走」での個性溢れるJ・コバーンを観られたのだから。