それでも恋するバルセロナ
2008年/アメリカ
バルセロナ観光とラテン気質を満喫
shinakamさん
男性
総合 75点
ストーリー 70点
キャスト 85点
演出 70点
ビジュアル 80点
音楽 80点
バルセロナが大好きというウディ・アレンが観光名所を舞台に繰り広げる得意の恋愛ドラマ。
才気溢れるアレンがバルセロナ観光局から資金を捻出してもらって、気軽に作ったように覗える。しかしそこはアレン流。スペインを代表する男優ハビエル・バルデムをラテン気質丸出しの画家として起用。アメリカからカタルーニャについての論文を纏めるため親類に身を寄せたヴィッキー(レベッカ・ホール)と親友でひと夏のバカンスを楽しもうとしたクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)の2人。気が合う2人だが人生感が両極。ファン・アントニオ(H・バルデム)は画廊で見かけた2人に声をかけ「オビエドへ旅行へ行こう。ワインを飲んでセックスしよう」と誘う。元妻と刃傷沙汰を起こして有名な画家のおよそ常識外れの誘いに最初から乗り気のクリスティーナと婚約中で常識派のヴィッキーはまるっきり違う反応だったのに...。
アレンの人間観察は、尻軽女のクリスティーナは<望まないものは分かる>ので実感して判断する女として描かれ、エリート婚約者と理想的な結婚を望むヴィッキーに本当にそれで良いのか?と疑問を投げかける。
ここまでは単なる恋愛ドラマだが強烈な味付け役となったのがファンの元妻マリア・エレーナのベネロぺ・クルス。後半に登場するが3人を圧倒する強烈な印象で全てをサラってしまう。スペイン語でまくしたてたり、ピストルを持ち出したり精神不安定な女なのにクリスティーナとの3人の生活は穏やかなのが何とも皮肉。
「成就しない愛だけがロマンティック」といわせる台詞とパコ・デ・ルシアの「ルンバ」や「アストゥリアス」など情緒溢れるギターの音色がぴったりとマッチしていた。
ただナレーションでストーリー展開したり速射砲のような台詞が字幕では本当のニュアンスが伝わりにくい。アレンが苦手な理由はここにある。