晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(バプリック・エネミー)No.1と呼ばれた男...』 75点

2011-06-25 11:55:37 | (欧州・アジア他) 2000~09

ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(バプリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part2 ルージュ編

2008年/フランス

銀行強盗が革命家を目指す哀れを演じ切ったV・カッセル

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★★☆75点

PART1が60年代中心であったのに対し、PRT2はフランスに戻ってからの70年代。銀行強盗と脱獄を重ねメディアにも登場、英雄気取りのジャック・メスリーヌ。警察はブルサール警視(オリヴィエ・グルメ)をリーダーに彼の逮捕に躍起となる。ジャックと警視の初対決があるが、情婦を逃がし偽パスポートを焼却する猶予を与えた警視とシャンパンで乾杯するシーンは如何にもフランスらしいユニークさ。
新しい仲間との出会いと別れを繰り返し、そのたびに自己顕示欲が膨らみ反政府活動家チャーリー・ボーエル(ジェラール・ランヴァン)との出会いで革命家かぶれとなってゆく。父との別れに涙し、娘の成長に父としての喜びを感じる家庭人としての愛着も覗えアンバランスな魅力を兼ね備えている。致命的だったのは記者ジャック・ダリエに瀕死の重傷を負わせマスコミを敵に廻したこと。マスコミで大衆のヒーローとなり最後は社会の敵NO1と呼ばれるようになってゆく。
V・カッセルはアナーキーでありながら陽気なジャックの晩年を20キロも増量・髭とカツラで変装し、独特の存在感を魅せている。PART1でのジェラール・ド・パルデューのような大物はいないが、反政府活動家J・ランヴァン、ブルサール警視・オリヴィエ・グルメや脱獄王ベスを演じたマチュー・アルマリックなど地味ながら個性派で脇を固めV・カッセルの引き立て役に徹している。女優ではPRT1に引き続きセルシド・フランスと最後の情婦シルビアに扮したリュディヴィーヌ・サニエが登場する。サニエは「スイミング・プール」「ピーター・パン」より少し大人になり、愛人より愛犬の死を心配する女の不思議な心情を披露している。
銀行強盗32回、脱獄4回を繰り返し庶民の英雄となったジャック。革命家かぶれで哀れな最後を迎えようとしているが、それを予期するように獄中で自伝出版したのが彼のケジメの付け方だったのだろう。