スイミング・プール
2003年/フランス
現実と空想の交錯を楽しむ
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 85点
音楽 80点
フランソワ・オゾン監督・脚本のミステリー風ファンタジー。イギリスのミステリー作家が出版社社長・ジョンの別荘で次回作の構想中に起きた殺人事件。
人気シリーズ「ドーウェル警部」はマンネリで、タダならぬ仲のジョンからも見捨てられそうな焦燥感のまま南仏の別荘へ。そこに現れたのがジョンの娘ジュリー。ジュリーを演じたのはリュディヴィーヌ・サニエで大胆なヌード・シーンでの演技に目を奪われる。奔放で愛情に飢えて日替わりに男を連れてくるセックス・シンボル的存在だ。サラにとってジュリーは腹立たしく邪魔な存在だが、潜在願望を臆面もなく実行する羨望の的でもある。その証拠にノンカロリー・ヨーグルトとトマトを主食としてダイエット・コークとウィスキー・紅茶しか飲まないイギリス中年女性のサラが、ジュリーの買ってきたフォアグラを肴にワインをこっそりがぶ飲みするシーンがある。そしてサラが好感をもったカフェのウエイター・フランクとプールでじゃれあうジュリーに嫉妬して石を投げたりする。ジュリーの日記を盗み見したのをキッカケに書き始めたサラの小説は、ジュリーに読まれてフランクを巻き込んだ事件へと発展してしまう。
ジュリーが実在の人物なのか、架空の人物かまたは実在の人物に空想が交じっていたのかは最後まではっきりしない。自分なりの解釈はあるが、曖昧さのなかに事実が見え想像力が掻き立てられれば、正解はどうでもいいのでは?
オゾン監督は「想像力の源は?という質問の答えを、自分の代りとして英国の女性推理作家に投影させた。」といっている。
最も印象的だったのは御年58歳のシャーロット・ランプリングの円熟した演技・特に表情の変化と潔い脱ぎっぷり。身動きが取れないままエンディングを迎えてしまった。いづれにしても<女の魅力と隠れた厭らしさ怖さを表現した>オゾン監督と見事に演じたC・ランプリングに圧倒させられた。