七年目の浮気
1955年/アメリカ
ワイルダー苦心の作で後世に残る
shinakamさん
男性
総合
80点
ストーリー
80点
キャスト
85点
演出
80点
ビジュアル
80点
音楽
80点
ブロードウェイで’52から3年間ロングヒットしたジョージ・アクセルロッドの戯曲をビリー・ワイルダーが映画化。マリリン・モンローの伝説的シーン(地下鉄の通気口で白いスカートが吹き上がる)が今でも有名である。
NY三流雑誌の編集者・リチャード(トム・イーウェル)が、妻子を避暑地に送りつかの間の独身生活をエンジョイしようとするが妄想癖に葛藤するコメディ。
舞台劇を映画化することでは第一人者であるワイルダー監督にしては切れ味に欠け凡作となってしまった。主役のT・イーウェルは舞台でも主役を務めただけあって如何にも小心者の善良な中年サラリーマンぶりを見せているが、映画向きではない台詞のオンパレードでは間が持てない。モンロー似のブロンド娘という役のM・モンローの引き立て役となってしまった。
それでも「逢いびき」で涙を誘ったラフマニノフの「第2ピアノ協奏曲」を引用したり名シーンは外していない。
地下鉄の通気口のシーンは映画を見た帰りでおこるが、観た映画の題名が「大アマゾンの半漁人」というのが笑える。肝心のシーンは巷間言われる膝を曲げてスカートを抑えるポーズではなく上半身と下半身のカット変わりの味気ないシーン。これはNYで撮影したシーンが野次馬に邪魔されて使えずセットで撮り直したものだと聞いている。NYロケに立ち会った夫の元大リーガー、ジョー・ディマジオとの離婚原因となったのもこの伝説を確定的にしている。2人が新婚旅行で来日したのは自分が9歳のときで、ニュース映画で観たがこんな人形のようなひとがいるんだと驚いた覚えがある。映画のできよりもM・モンローが大女優として映画史に残る作品。ワイルダーの苦心作でもある。