晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『幻の光』 80点

2007-03-27 11:04:26 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

幻の光

1995年/日本

アンゲロプロスを彷彿させる映像美

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

「誰も知らない」「花よりもなほ」の是枝裕和監督鮮烈のデビュー作で、宮本輝原作を映画化。ヴェネチア国際映画賞金のオゼッラ賞受賞作品。
12歳で祖母の失踪がトラウマとなりながら、ゆみ子(江角マキコ)は結婚してやっと幸せの絶頂期に、夫(浅野忠信)が突然の鉄道自殺。能登の漁村で男ヤモメ民雄(内藤剛志)と再婚して、改めて生と死を想う。
大阪・尼崎と能登の季節の移り変わりをローアングルで捉えた映像はそれだけで心情に迫ってくる。
海辺の葬列シーンなど、ゆるやかなワンシーン・ワンカットの積み重ねとアップなしの人物描写。アンゲロプロスを彷彿させる映像美だ。モノトーンで主人公の心の内を表現した衣装。ゆみ子が唯一見せた白の下着シーンが印象的。
「いい日和になりましたなあ」と義父(柄本明)に声を掛けるゆみ子に、漸く居場所が見つかった心の落ち着きを感じる。