晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『今宵、フィッツジェラルド劇場で』 80点

2007-03-11 20:05:02 | (米国) 2000~09 

今宵、フィッツジェラルド劇場で

2006年/アメリカ

懐かしのライブシヨーを再現

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆85点

実在のラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の司会を長年務めたギャリソン・キーラー原案・脚本を巨匠ロバート・アルトマンが監督。R・アルトマンといえば、ヨーロッパ三大映画祭のグランプリ監督、これが遺作となってしまった。
フィクションなのにG・キーラーが司会をして、実際のライブショーを見ているような気分にさせてくれる。複数のカメラワークも効果的で臨場感たっぷり。
ジョンソン・ガールズ(メリル・ストリープ、リリー・トムリン)やダスティ&レフティ(ウディ・ハレルソン、ジョン・C・ライリー)のナマ歌も見もののひとつ。勿論吹き替えなしなので本職には及ばないが、それを凌ぐ味を出していてこの映画の魅力となっている。
思わせぶりな保安係(ケヴィン・クライン)、ライブ劇場を買収したテキサスの企業家(トミー・リー・ジョーンズ)、謎のコートを着た美女(ヴァージニア・マドセン)が登場するが、大人のメルヘンとして、懐かしき良き時代を想起させてくれる。
これで最後のライブショーでありながら、いつもどおり楽屋で起きる日常・アクシデントを切り取りながら、人生とはこういうものだという達観ぶりがアルトマン監督らしい。ベテラン歌手チャック・エイカーズ(L・Q・ジョーンズ)が楽屋で亡くなっても「老人の死は悲劇じゃない」というシーンが印象的。
アンチ・アカデミー派の代表的監督であるアルトマンを、「マグノリア」のP・T・アンダーソンが補佐してこの映画が完成したのも感慨深い。