ブログ 「ごまめの歯軋り」

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経済問題 神田秀樹著 「会社法入門」 岩波新書

2008年09月10日 | 書評
21世紀の「会社法」はIT革命と資本市場への対応をめざすもの 第2回
序 (2)

 2006年5月に施行された「会社法」の背景と内容のポイントを解説するものであると序文に書かれている。1990年以降のバブル崩壊後の「失われた十年」の間に不良債権処理、デフレ経済、株価低迷、金融ビッグバン、企業買収を経験した日本企業の課題は深刻で、企業法制と株式市場法制の抜本的な改革が必要であった。何のための改革かといえば「日本企業が今後収益を上げてゆくことをサポートするため」であると云うのが本書の見解である。日本の眠っている預貯金は1400兆円とも言われても、なお株式市場への国民の信頼は薄い。それは「損失補てん」とか「飛ばし」と云う姑息な手段で一般投資者の信頼を裏切ってきたからである。「証券取引法」の改革も必要であり。会社法だけでなく会社を取り巻く総合的な環境の改革が同時になされないと効果が出てこないものである。2000年よりようやく当面の緊急課題を脱した日本は会社法をめぐる法整備に取り掛かった。その成果が全面的に「会社法」に結実しているとは言い難いが、今後のグローバル化やIT化の課題も取り込んで更なる法整備が必要である。



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