できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

2039冊目:松尾匡『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』PHP新書

2014-11-22 13:25:00 | 本と雑誌
2039冊目はこの本。
松尾匡『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 巨人たちは経済政策の混迷を解く鍵をすでに知っていた』
(PHP新書、2014年)

現代経済学の学説史的な見取り図をアタマに描くのには、まさにうってつけの本かな、と思った。
なにしろ、ハイエク、フリードマンら新自由主義につながる経済学者の学説の変遷を、ケインズ派と何がちがうかという点からおさえて整理しようとしてくれているので。
ただ・・・。
この本の後半、著者がインフレ目標論やベーシックインカム論を肯定的に書いているあたりは、「そんなにうまいこといくのかな?」という疑問しか出てこなかった。
それこそインフレ目標論なんて「政府の経済政策や中央銀行の金融政策への信頼」が前提にあってはじめて成り立つのだろうけど、でも、それが大きく揺らいでいるときには、やっぱりうまくいかないのでは?
「政府は数%のインフレが来ると言っているけど、ほんとうに実現できるの?」と思われてしまえば、やはりそこにはリスクをとることを躊躇する国民の心情が生まれ、期待したとおりの経済の安定化や成長は見込めなくなるのでは・・・??
こういう「政府や中央銀行への信頼、信任」という問題を著者がどう考えているのか、聴いてみたいところです。

ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 (PHP新書)

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2038冊目:名越康文『どうせ死ぬのになぜ生きるのか』PHP新書

2014-11-22 13:11:42 | 本と雑誌
2038冊目はこの本。
名越康文『どうせ死ぬのになぜ生きるのか 晴れやかな日々を送るための仏教心理学講義』
(PHP新書、2014年)

ついこの前まで隣の研究室に居た名越康文さんの新著。
(名越さん、2013年度まで、うちの大学の客員教授として集中講義等々に来ていただいていたので)
この本を読んで、「ああ、そうなんだ」と、自分のしてきたことの持つ意味にひとつ、気付きました。
具体的には第3章のところで、日常生活のなかで掃除やアイロンがけなど、何気ない家事に没頭することが持つ「行」としての意味を名越さんが解説しているあたり。
私はわりと掃除や後片付けが好きで、それをするとなぜかスッキリした気分で次の仕事に移れるのですが、そのことの持つ意味をこの本から教えていただいた気がします。

どうせ死ぬのになぜ生きるのか (PHP新書)

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2037冊目:植村修一『不祥事は、誰が起こすのか』日本経済新聞出版社

2014-11-22 13:04:12 | 本と雑誌
2037冊目はこの本。
植村修一『不祥事は、誰が起こすのか』(日本経済新聞出版社、2014年)

タイトルと本の帯にひかれて書店で購入したが、やや期待外れ。
いろんな企業不祥事や事故・事件等で設置された第三者調査委員会の報告書を読んで、その内容をふまえて何かリスク管理等々について論じようとしてきたことはわかるのだが・・・。
筆者のなかで課題意識が十分に整理されないまま、いろんな事例が羅列されているような印象。それだけに、報告書からわかる個々の事例については面白いのだけど、この本全体として「で、何が言いたいの?」というような印象を受けた。


不祥事は、誰が起こすのか (日経プレミアシリーズ)

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