前回のブログにも書きましたが、先週の土曜日(10月30日)の朝、(社)子ども情報研究センター・子育ち連携部会で、山中多美男さんの話を伺う機会を持ちました。
ご存知の方もいるかと思いますが、山中さんはかつて大阪市内の解放子ども会の指導者として活躍され、例の「プラカード事件」にも運動の側からかかわった経験をお持ちです。ちなみに、この「プラカード事件」については、次のブログを参考にしてください。
「子ども文化総合研究所」のブログ:日之出プラカード事件から教育闘争へ
「子ども文化総合研究所」のブログ:「おいら」から「おれたち」へ
それで、このプラカード事件の当時、子どもたちとつくった歌(替え歌)だということで、部会当日、山中さんから次の歌を紹介して(というか歌って)いただきました。
一、 おいらは学校へ行きたいが/給食代が待っている/もしもはらわずにいるならば/先生やみんなの目が光る
二、 うちの父ちゃん靴なおし/うちの母ちゃん日雇いで/だからおいらはいつまでも/差別と貧乏で日をおくる
三、 これじゃいけないとおれたちは/みんなで話して考えた/みんなで団結したならば/差別や貧乏はこわくない
それで、この歌の元歌は「練鑑ブルース」だとお聞きしたので、さっそく、YouTubeで「練鑑ブルース」を調べてみました。すると、こんな歌だということがわかりました。
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YouTube: 仁義口上・練鑑ブルース
この動画の前半部分は口上が流れていますが、後半部分が「練鑑ブルース」ですね。
それでさらにこの「練鑑ブルース」の元歌を調べると、「可愛いスーちゃん(スゥチャン)」という戦前の曲に出会います。2パターンをアップしておきますので、動画を見てください。
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YouTube: [k] 可愛いスーちゃん (豊川ヒロシ)
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この3つを聴き比べてもらえればわかりますが、元歌は軍隊生活のつらさを歌詞に織り込み、「厭戦気分」に満ち溢れた戦前の歌謡曲「可愛いスーちゃん」。それが敗戦後、鑑別所帰りの若者たちに歌われる「練鑑ブルース」になり、そして、「プラカード事件」で学校に異議申し立てをする歌詞が替え歌で付けくわわる。
・・・・はからずも、私はこの3つの歌に、日本の近代国家の「支配装置」ともいうべき軍隊・鑑別所・学校に対する、庶民の嘆きや悲しみをうたった歌という共通点を見出したのですが。
そして、「解放教育」というのは、その底流に日本の近代国家の「支配装置」たるものに対する不信感、疎外感がどこかにあって、はじめて成り立つものなのではないか・・・・とすら、プラカード事件から歌のルーツをさぐるなかで思ってしまったのでした。
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