およそ3ヶ月を掛けて制作したシルバー作品の玉響(たまゆら)。
偶然なのか予定調和だったのか、その期間のトシヤの家での状態といったらもう・・・。
以前にも書いてますが、猗窩座(あかざ)みたいな痣がつくような掴みかかりを、ほぼ毎日。
6月には右手中指を噛まれて、全治2週間余。
二の腕の傷がやっと治りかけるかと思うと、追い打ち。
まあまあ、ほぼ毎日傷だらけでしたが、とにかく今は自粛してくれと、通所先が通わせてくれない日が2年も続いており、家の中に二人切りの状態が続くという悪環境が、さらに追い打ちをかけていました。
そんな中、狭いけれど私の仕事部屋に籠って作業する、ほんの僅かな時間だけが私の癒しの時間でした。
美しいものを作りたいという気持ちだけが支えでした。
毎日、怪我だけでなく細々とした世話や家事、息子がらみの外出などが洪水のようで、ほんとうに僅かな時間を紡ぎ合わせるしかありません。
作品が出来上がるころ、作品のタイトルを決めなければ・・・と思い巡らせたとき、玉響(たまゆら)という言葉が浮かびました。
たまゆら(玉響)は、勾玉同士が触れ合ってたてる微かな音のこと。転じて、「ほんのしばらくの間」「一瞬」(瞬間)、あるいは「かすか」を意味する古語
ほんの一瞬だけど、幸せな瞬間が私を正気に保ちました。
思えば、息子も私が自分の方を見ていないという不安感が強かったのかもしれないです。
しかし、私はもう何かに挑戦するのに躊躇っている時間など無いのです。
申し訳ないけど、息子にだけ私の100%のエネルギーを注ぐことは出来ない。
ただ、今になって思えば、こういう状況だったからこそ、創作することが強力な癒しの力を秘めていることを実感出来たのです。
作品が完成して評価されたというのは、とても嬉しく有り難いことですが、これからの私の進む道のヒントが得られたことは、とても大きかったと思います。
人生万事塞翁が馬、ですか。