数日前のこと、関西弁のご夫婦が中学生くらいの孫娘さんと三人でお立ち寄りでした。装いがいかにも普段着で、いわゆる旅行者とは少し違う雰囲気です。奥様が「何度か見ていますけど、いい仕事してますね~」とおっしゃるので詳しくお聞きすると、毎年七月から九月までの三か月間、田沢湖に借りた一軒家で過ごすという大阪のご夫婦でした。孫娘さんは夏休みを利用して、祖父母の元を訪ねていたんですね。
草履をオーダーくださったご主人へ、「お引き取りはお祭り見物のついでにいかがでしょう」と話してみました。すると、『いや、一度ゆっくり観たんやけど、なんか長いこと話し合いしてましたな~。草履はお祭りの後でかまいませんから~』。要するにお祭り見物にはお越しにならないという意味でしょう。
ときに見物人から言われる交渉時間の長さは、角館のお祭りを観光資源としづらい一つの要因と思っています。ヤマとヤマが向かい合ったとき、どういう方法(手順)で交差するかを話し合うのが「交渉」です。場合によってはこの交渉時間、一時間や二時間ということもあるんですね。
角館のお祭りは「ヤマの激突」がウリのように云われますが、ぶつけるのは交渉を重ねて決裂した場合に限ります。ですからハナっからぶつける気で交渉を開始することは基本的にないわけです。確かにそこには本音と建前があるのですが、自身のヤマにとって最良の結果は相手のヤマに道を作らせること。互いが相手に道を作らせるべく交渉が続き、「これ以上問答無用」の状態に達したとき力づくでの前進が始まるわけです。
ただしこれは八日の一部と九日の「本番激突」であり、先回のブログでご紹介した「観光用激突」は別です。出来る限り決まった時刻に二台のヤマが場所に着き、大きくお待たせすることなく始まるでしょう。ちなみに「観光用」と「本番」はそのぶつけ方も異なりますので、九日の夜から十日未明まで見物できる方々には、ぜひその辺りもお楽しみください。
お祭りまであと六日となりました。