角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

想・創・奏(そう・そう・そう)

2013年07月07日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
水玉草履第四弾は、「オレンジ」です。オレンジ色のシーチング(無地)を利用するようになってから、ベースもオレンジ色を探すようになりました。比較的お若い女性に人気が高く、やっぱり可愛いですからね。
ミカンは冬なのに、オレンジ色は夏に似合うというのも面白いと思います。

先日のブログで少し触れましたが、地井武男さんのご命日に発刊となった写真集、「想・創・奏」~ちい散歩メモリアルフォトブック~が手元に届きました。



タイトルは生前の地井さんが、日頃好きで使っていた言葉だそうです。『想いを創造して、みんなで奏でたいね』

たくさんの写真の合間合間に、地井さんの遺した言葉が散りばめられています。角館草履の写真は「ものづくり」をテーマにした枠に配置されていて、そこに遺された言葉は…。



『職人さんが心を込めてつくったものが、何十年後か何百年後かの人間の心を打つ。それってすごいことだよね。職人さんの技術は廃れてはいけないし、そのためにも紹介は必要。でも、もっと大事なのは、その技術を残すためにも、商品を買ってあげて、使うってことなんだよ』。

私の草履がそこまで高い評価に位置するかと言えば、そうではありません。でも「ものづくり」を生業とするひとりとして、こうした考えを聞かされるのはとても光栄ですし、嬉しいことです。
なにより、この世にいない人の言葉というのは、とても重く感じました。

ほかにも感銘を受ける言葉がいくつもあります。これからの「実演日記」で、折に触れ紹介したいと思います。

今日も「ちい散歩角館ロケ」の写真を見たお客様と、当時の話に花が咲きました。お帰り際に、『僕も履いてみようかな』とおっしゃるおじさまもいます。地井武男さんという人には、私が草履を編み続ける限りお世話になるんじゃないでしょうか。
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土地の棲み分け。

2013年07月05日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
水玉草履第三弾は、「緑」です。ピンクやオレンジのような華やかさはなくとも、緑人気は性別や年齢と無関係に高いものがあります。
実は「水玉草履5色」の中で、最初に売れたのが緑でした。特段違和感のない結果です。

6月の記録的少雨のあと、7月に入った角館は連日の降雨です。今日も朝から強弱を繰り返し、薄暗くなった今も降り続いています。散策のお客様にはご難儀と思いながら、地元農家にとっては嬉しいまとまった雨になりましたね。
『雨の角館もまたオツなものですよっ』。散策のおじさまの言葉に救われました。

東京からお越しのおばさま二人旅。しばし世間話に花を咲かせていると、ひとりのおばさまから角館の「ホテル不足」を指摘されました。おばさま曰く、『これだけの観光客が来る町にしては、泊まるところが少ないわよね』。ご指摘ごもっともと思います。

これは私見であり、必ずしも正しくない可能性を前置きしてお答えしたのが、「棲み分け」なんですね。仙北市は「角館」と「田沢湖」の二大観光地を有しています。車で30分程度と近いことから、それぞれに異なる特徴を持たせる策があって不思議じゃないと思うんです。

田沢湖は湖にも高原にも多数のホテルが立ち並ぶ環境にありますから、「泊まりは田沢湖」「散策は角館」という考えは間違っているとも言えないでしょう。実際日々出会う旅人からも、田沢湖温泉の帰り道とはよく聞く話です。

山梨県からお越しのご夫婦旅。角館草履の健康効果と色使いに感心してくださり、ご夫婦お揃いでお買い上げくださいました。
大人の休日倶楽部パスをご利用の中には、時間がたっぷりというお客様が少なくありません。それはこの地域の電車の少なさにも由来するんですけどね。こちらのご夫婦も、30分を超えて実演席に滞在されました。

ご夫婦が私に言うのは「平成の大合併」。合併のためにかねてからの地名が失われたのは、大損失だというわけです。確かにわが仙北市にしてもお隣り大仙市にしても、そこがかつての角館や田沢湖、あるいは大曲や神宮寺だと理解されるまで、この先いったい何年かかるでしょう。

自治体規模が大きくなった現代だからこそ、かつての小さな町や村が特色ある生き方を模索しなければならないのかもしれません。先人が遺してくれた故郷を、自治体名の消滅と共に埋没させるわけにはいきませんからね。
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夏の角館草履。

2013年07月03日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
水玉草履第二弾は、「赤」です。赤といっても明るいピンクに近いでしょうか。いずれにしても、可愛らしさは十分発揮していますね。やはりお若い女性に好まれるのか、私も楽しみです。

今日の角館は、本格的な雨になりました。朝から夕方まで強弱を繰り返しながら降り続くのは、ちょっと思い出せないくらい久しぶりです。まさに梅雨の気象ですが、特に農家は恵みの雨でしょう。6月の少雨は異常でしたからね。

週間予報ではしばらくぐずついた天気が続くようです。今日は気温も低く過ごしやすい感じですが、明日以降は傘マークのうえに30℃の真夏日。かなりの蒸し暑さを覚悟しなければいけません。

そんな時季だからこそ、せめて足元くらい心地良く過ごしたいものです。先日お電話でお買換えのご注文をいただいた横浜市磯子区にお住まいのおばさまから、入金を知らせる郵便局の払込取扱表が届きました。通信欄に書かれたメッセージは、「開封した瞬間にイ草の香りに癒されました。この夏は気持ちの良い足元になりそうです」。
新品草履に足を入れた瞬間の、心地良い笑顔が浮かぶようです。

本格的な梅雨から盛夏へと、草履を編む環境は少しばかり過酷になります。そういう時季だからこそ新しい草履が嬉しいのですから、今夏もしっかりと編み上げて参ります。
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今夏、水玉が、来~る~!

2013年07月01日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
行きつけの生地屋さんにある「水玉プリント」が、一ヶ月くらい前から気になっていました。夏に向きますし、間違いなく可愛らしいですからね。そしてもうひとつ、最近よくテレビに登場する彫刻家で画家の草間弥生さん。彼女の人気にあやかろうというわけではないのですが、今夏は水玉がトレンドという気がしました。

そこで、数量限定5種類の「水玉草履」を編んでみます。第一弾が「紺の水玉にエンジ」、最もオーソドックスな配色ですね。今日から5回連続の「水玉ゴレンジャー」、実演席での話のネタにも面白そうです。



暦が7月へと移り、トップページの実演スケジュールカレンダーを更新しました。もう今年の半分が消化されたんですね。ときの速さをあらためて感じますよ。
最近の角館は、空梅雨の暑さが続いています。連日30℃前後に達し、暑さでは定評のある群馬県高崎市のおばさまが、『ウチより暑いわ…』。

JR東日本大人の休日倶楽部パスが6月29日から始まり、連日散策のおばさまたちで一定の賑わいを見せています。
東京からお越しくださったおばさま二人旅は、弘前→角館→酒田→新潟と回る旅だそうです。『弘前で五本指靴下を買ったのよ~。この草履と出会うのはきっと決まっていたのね~』。

明日もそんな「縁ある出会い」を楽しみにしたいと思います。
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