角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

土地の棲み分け。

2013年07月05日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
水玉草履第三弾は、「緑」です。ピンクやオレンジのような華やかさはなくとも、緑人気は性別や年齢と無関係に高いものがあります。
実は「水玉草履5色」の中で、最初に売れたのが緑でした。特段違和感のない結果です。

6月の記録的少雨のあと、7月に入った角館は連日の降雨です。今日も朝から強弱を繰り返し、薄暗くなった今も降り続いています。散策のお客様にはご難儀と思いながら、地元農家にとっては嬉しいまとまった雨になりましたね。
『雨の角館もまたオツなものですよっ』。散策のおじさまの言葉に救われました。

東京からお越しのおばさま二人旅。しばし世間話に花を咲かせていると、ひとりのおばさまから角館の「ホテル不足」を指摘されました。おばさま曰く、『これだけの観光客が来る町にしては、泊まるところが少ないわよね』。ご指摘ごもっともと思います。

これは私見であり、必ずしも正しくない可能性を前置きしてお答えしたのが、「棲み分け」なんですね。仙北市は「角館」と「田沢湖」の二大観光地を有しています。車で30分程度と近いことから、それぞれに異なる特徴を持たせる策があって不思議じゃないと思うんです。

田沢湖は湖にも高原にも多数のホテルが立ち並ぶ環境にありますから、「泊まりは田沢湖」「散策は角館」という考えは間違っているとも言えないでしょう。実際日々出会う旅人からも、田沢湖温泉の帰り道とはよく聞く話です。

山梨県からお越しのご夫婦旅。角館草履の健康効果と色使いに感心してくださり、ご夫婦お揃いでお買い上げくださいました。
大人の休日倶楽部パスをご利用の中には、時間がたっぷりというお客様が少なくありません。それはこの地域の電車の少なさにも由来するんですけどね。こちらのご夫婦も、30分を超えて実演席に滞在されました。

ご夫婦が私に言うのは「平成の大合併」。合併のためにかねてからの地名が失われたのは、大損失だというわけです。確かにわが仙北市にしてもお隣り大仙市にしても、そこがかつての角館や田沢湖、あるいは大曲や神宮寺だと理解されるまで、この先いったい何年かかるでしょう。

自治体規模が大きくなった現代だからこそ、かつての小さな町や村が特色ある生き方を模索しなければならないのかもしれません。先人が遺してくれた故郷を、自治体名の消滅と共に埋没させるわけにはいきませんからね。
コメント (4)
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