角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

チームワークの完成度。

2015年08月20日 | 地域の話


お休み初日の昨日、わらび座公演は最終日となる「ジュリアおたあ」を観劇してきました。秀吉の朝鮮出兵に従軍した熊本宇土城主小西行長は、帰還する際に戦災孤児となったひとりの娘を連れてきます。その娘の名が「おたあ」。行長の養女として、大きな環境の変化にも元気に素直に育つのですが、関ヶ原の戦いで行長が従軍した西軍の敗北により、その後の人生がまた大きく変わります。

ストーリーとしては、自害を禁ずるキリシタンとして、どんな過酷な環境においても最後まで生き抜く女性を描いたものです。彼女が生きる志には、「人のために役立ちたい」が一貫しています。そこに「我欲」はありません。その点において観劇された人たちは一様に感動を覚えるのでしょう。
もう一つわらび劇場の舞台を観て思うのは、役者さんひとりひとりが全力でその役に挑み、やがてそれがチームワークとなって観客を魅了する完成度なんですね。

何人かの役者さんと話していて感じるのは、「お客様にどうやって喜んでいただくか」「お客様に喜んでいただけないなら私はなぜここにいるの」という一つの志です。この点においては私たち商人も、いささかの違いはないと思っています。むしろ私はわらび座の役者さんたちに「商い」を見るんですね。
「ジュリアおたあ」もそのチームワークに素晴らしいものを感じました。それは個々の役者さんたちが、日々己を高める稽古を続けている証しとも思うわけです。そうした個々の姿から自然発生的に生まれ、やがて醸成されるのがチームワークなのかもしれません。

夏の甲子園は今日、東海大相模高校の優勝で幕が下りました。暮らす県代表が敗れたあとは、どうしてもより近くの県代表を応援するものです。したがってわが家は仙台育英高校を応援していました。序盤の劣勢をはね返す同点劇にはいささかの感動がありましたね。それが九回表、相模高校の投手が自ら放った本塁打で、「これは決まったな」と思いました。それにしても素晴らしいゲームだったと思います。

彼らも「チームワーク」を口にします。もちろん団体競技において重要な一つと私も思います。けれどそこにも、日ごろの己を高める練習や生活があるからこそ生まれるチームワークなんじゃないかと思うわけです。想いは一つ、この仲間たちと勝利に酔いしれたい一心でしょう。おそらくそこにも「我欲」はないと思います。「一人はみんなのために」なんですね。

私は19年前に組織を離れ、個人事業に転換しました。自らの商いにおいて、基本的には誰の干渉も束縛も受けません。だからこそ、「チームワーク」の魅力に敏感なのかもしれません。昨日の「ジュリアおたあ」も今日の甲子園決勝も、己を高める努力の上に醸成された、眩しいほどのチームワークを見せてもらった気がします。
コメント (2)
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