今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
赤とピンクを使ってズバリ可愛い草履にしてみました。豊かな配色が角館草履の大きなテーマですから、「シブい」「シック」「お洒落」「カッコいい」と種類を問いません。中でどうしてもなくて困るのは「可愛い」なんですね。女性であればまずどなたでも笑顔になる、そんな可愛い草履を今冬もしっかり編んでおこうと思っています。
一昨日のこと、一人旅をしている中国人のお若い女性がお立ち寄りでした。語弊を覚悟で「らしくない」ほど腰の低い女性です。戸を開け入って見える際の一礼も驚きましたが、話し方が落ち着いていて日本語も流暢、そして言葉づかいが丁寧なんですね。女性に『それだけ話せれば日本で困ることはないでしょ?』とお訊ねすると、『はい、あまり困ることはないですが、松島の遊覧船の説明はよく分かりませんでしたぁ』。
私も角館の歴史などは話題にしないほうがいいかなと思いました。
女性は現在オーストラリアに暮らしているそうです。海外生活の候補を日本とオーストラリアの二つに絞ったところで、大学の先生をしているお父上に相談しました。するとお父上は、『日本人は難しい人が多いから、暮らすならオーストラリアがいいだろう』。なんとなく私も納得してしまったところが若干悲しかったです。そしてなおさらこむずかしい話題は避けたほうがいいと思いました。
私も女性の人間性に興味がありましたから、今回は聞き役に徹しました。オーストラリアの暮らしを、『お給料も高いですけど物価も高いですね。レストランに入って日本の千円くらいではたいしたものは食べられません。日本は食べ物が安いし美味しいので良かったですぅ』。食べ物の話をして照れ笑いをするところは、普通の若い女の子と一緒でしたね。
さらに女性は日本のお店について、『日本はどこに行っても可愛いものがいっぱい売ってます。中国にもオーストラリアにもあまりそういうのはありません』。
なるほど女性がお選びの草履は定番配色⑤「桜うさぎピンクにエンジ」でした。悩むほどの時間もかけずお買い上げでしたから、かなりの日本ファンであり可愛いものが大好きなんでしょう。ぴったりサイズは22cm、もし「今日の草履」が22cmだったらきっとお選びだったと思います。
それにしても海外で日本文化が脚光を浴びる要素には、「可愛い」が影響しているのでしょうか。万一海外で草履実演なんてことがあったら、作務衣はピンク色にしましょう。