角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

歴史が招くお客様。

2012年06月21日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
優しいピンク系でまとめた桜プリント草履です。桜は言わずと知れた角館の象徴ですから、プリント柄だけの比較であれば人気ナンバーワンと言っていいでしょう。少し足が小さめの女性であれば、世代を問わずお勧めしたいですね。

ここ数日の角館は、いかにも梅雨らしい天気が続いています。台風4号の影響はほとんどなく過ごせたものの、とにかく気温が低いです。昨日も今日も最高気温が20℃程度ですから、それこそ桜の時季に戻った感じですかね。

藩政時代秋田を治めたのは佐竹家です。佐竹家が秋田へ移るのは、徳川家康による関ヶ原の戦後処理で、それまでは茨城県を治めていました。家臣を始めとする国人たちが大勢秋田へ移り住むのですが、当然ながらひとり残らず秋田へ来たわけではありません。

先日ご家族でお越しの男性が、『茨城から来ました西宮です。こちらの西宮さんとは本家、分家の関係になります』。
つまり角館の西宮家は佐竹の殿様と共に茨城をあとにし、こちらのご家族は秋田を選ばずそのまま茨城で歴史を築いてきたわけですね。

昨年でしたか同じように話をされた男性がいて、そのことをこちらのご家族にお教えしました。すると、『あっ、それは兄だと思います。しばらく前にひとりで訪れましたから』。
こういうのもなかなか面白いですね。

佐竹家の家臣たちは、どんな思いで秋田へ来たのか。そして茨城に残った人たちの思いやいかに。
私は西宮家の人間でもなければ、家系図が残るような家柄の生まれでもありません。けれども角館という町に今生きているひとりとして、茨城の西宮さんを歓迎すべきと思いました。

およそ400年前、佐竹家が秋田に来なければ、角館もまたこの世に生まれなかったわけです。
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