角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

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2007年07月17日 | 実演日記
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わが身の無事より‥。

2007年07月17日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ22cm〔3000円〕
紫地に金の葉が綺麗な綿生地をベースに、緒はエンジです。紫は私の好きな色なんですが、こちらの草履もお洒落に仕上がったと思います。

夕方から雨の予報が的中です。昼過ぎくらいから蒸し暑くなり、実演席最高気温は26℃を指しました。雨が落ちてくると気温も下がって楽になるのですが、この雨が恨めしいのは、新潟の地震被災地を想うからです。
テレビに流される悲惨な現地映像、私はこうした映像を見ると思い出す、ひとつの出来事があります。

今では言葉を聞くことさえ少なくなった「地下鉄サリン事件」。私がその事件を知ったのは、当時勤務していた会社に程近いガソリンスタンドでした。
いつものように給油に行き、なにげにスタンドの店舗内へ入ると、ひとりの男性が食い入るようにテレビを見ています。後ろから覗いたテレビに、あの悲惨な映像が飛び込んできたわけです。

この男性のスーツ姿を見て、すぐに出張中の営業マンと分かりました。当時私も同じ仕事をしていましたから、「匂い」とでも言いますか、すぐに分かるもんです。
『なにがあったんですか?』と問い掛けてみると、男性が分かる範囲で教えてくれました。そして驚いたのは、『この電車、いつも私が利用しているんです』。都内の会社に勤務するその男性は、出張していなければ間違いなくその時間その電車に乗っていたと言うのでした。

『うわぁ、出張してて命拾いしましたねぇ~』という私の言葉、当時若かった私はそのことだけが頭に浮かびました。男性は頷きながらも、すでに想いはそこになかったんです。
おそらく最初はわが身の無事を喜んだと思います。でも次の瞬間、犠牲者に知り合いはいないだろうか、会社の同僚は大丈夫だったろうか、なんでこんなことが起こるんだ、想いは他人を心配する心へと移っていたんですね。
話をしていて、次第に私の考えの薄さが恥ずかしくなったもんです。見るところ、私よりいくつも年上でなかった気がしました。

新潟県はかつての私の出張コース、年に三度、10年以上に渡って出掛けた土地です。柏崎市にも長岡市にもお得意先があって、もちろん何度も宿泊しています。
地下鉄サリン事件の頃から、私もいくらか成長したんでしょうか。この地震が、十数年前私の出張中でなくて良かったとは、今の私には思えません。

心からお見舞い申し上げます。

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