緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

今年の抱負2017(6)

2017-01-29 19:47:07 | 音楽一般
4.マンドリン・アンサンブル マンドリン・オーケストラ

マンドリン音楽について昨年度の鑑賞を振り返ってみたい。
昨年の投稿記事を順に追って見てみると、まず藤掛廣幸の「スタバート・マーテル」の紹介から始まっていた。
この藤掛廣幸の「スタバート・マーテル」は、全ジャンルに渡って、私の好きな最も好きな曲の最上位のいくつかに数えられる曲である。
ちなみに、私が最も好きな曲を挙げてみたい。
(但し、録音で聴けるものに限る。録音の無い曲で好きな曲もあるが除外)

・フォーレ作曲 夜想曲第1番(ピアノ曲)
・フォーレ作曲 夜想曲第6番(ピアノ曲)
・フォーレ作曲 舟歌第1番(ピアノ曲)
・ベートーヴェン作曲 ピアノソナタ第31番(ピアノ曲)
・ベートーヴェン作曲 ピアノソナタ第32番(ピアノ曲)
・フェデリコ・モンポウ作曲 歌と踊り第2番(ピアノ曲)
・石田衣良作曲、大島ミチル作詞 あの空へ~青のジャンプ~(合唱曲)
・千原英喜作曲 近松門左衛門作詞 混声合唱のための「ラプソディ・イン・チカマツ」から壱の段(合唱曲)
・三善晃作曲、谷川俊太郎作詞、混声合唱のための「地球へのバラード」より、沈黙の名(合唱曲)
・三枝成彰作曲、平峯千晶作詞、「あしたはどこから」(合唱曲)
・マヌエル・ポンセ作曲 ソナタ・ロマンティカ(ギター曲)
・鈴木静一作曲 交響譚詩「火の山」(マンドリン・オーケストラ曲)
・藤掛廣幸作曲 「スタバート・マーテル」(マンドリン・オーケストラ曲)

これらの曲を聴くと、ものすごく感動する。
もちろん、これらの曲を好きになったのも、最高の演奏者との出会いがあったからだ。
これらの曲の最高の演奏は今まで記事にしてきた(但し、マンドリン・オーケストラ2曲は未掲載)。

藤掛廣幸の「スタバート・マーテル」はこれらの曲の中でも上位に入るお気に入りの曲だ。
この曲は、あるミッション系の学校の依頼を受けて作曲された、宗教的なテーマを持つものとされているが、私は主題の進行や展開に、あまり宗教的な雰囲気を感じない。
寧ろとても強く感じるのは、藤掛氏が思春期や青年期を過ごした1960年代後半から1970年代半ばにかけての情熱や希望に満ちた日本の時代である。
藤掛氏は恐らく、この時代の体験をベースに自分の作風の土台を築いたに違いない。
1980年代以降が思春期や青年期であったならば、このような曲は決して生まれなかっただろうと思う。
藤掛氏は作曲家になるまでかなり苦労したようだが、この時代にさまざまな尊い体験をしたと思う。

今日、この曲の中で好きなフレーズをギターパートのみであるが、3か所録音してみた。

・「スタバート・マーテル」ギターパート①

・「スタバート・マーテル」ギターパート②

・「スタバート・マーテル」ギターパート③

アルペジオの伴奏パートであるが、このアルペジオの和声進行がとても好きで、学生時代はこのギターパートのアルペジオを弾くだけでも大きな満足を得られた。
とくに2箇所目のイ短調のアルペジオを連続する部分は、この曲の最も好きな部分で、この部分を聴くと、脳が覚醒してきて昔楽しかった70年代の中学校時代の様々な光景が蘇ってくるのである。
メロディラインがないので、イメージが付かないかもしれないが、よくこんなフレーズを書けると思う。

幸いなことに、この曲の生演奏を昨年末に聴くことができた。
社会人を中心とした演奏団体である、ポルタビアンカマンドリーノの演奏であった。
マンドリン音楽がとことん好きな方々の団体の演奏だけあって、とても迫力があり楽しめた。
社会人なので普段の生活でも精一杯であろうが、このような団体に所属してレベルの高い演奏を聴かせてくれることは大変な努力だと思う。やはりマンドリン音楽が何よりも好きだから出来ることなのであろう。


次に学生団体の演奏である。
昨年は中央大学と獨協大学で、それぞれ2回の演奏会、その他のいくつかの大学の演奏会を聴かせてもらった。
やはり中央大学マンドリン倶楽部の演奏が群を抜いて素晴らしかった。
彼らの演奏は決して安易な妥協をしない。
厳しく、過酷な練習を積んできたことが演奏を通じて、大いなる感動という形に変換されて伝わってくる。
音楽解釈や技巧も素晴らしいがそれだけではない。
一番感動するのは、彼らがマンドリン音楽が心底好きで、マンドリン音楽に真に感動していること、過酷な練習をものともせず、音楽の素晴らしさを聴き手に伝えたいという強い気持ちが一つになって、聴き手に伝わってくることである。
彼らの演奏を聴くと、マンドリン音楽も結構奥が深いものだと気付かされる。
管弦楽にはない魅力に気付く。
この中央大学マンドリン倶楽部の演奏を聴いて2年ほどになるが、今まで4人の指揮者に出会った。
いずれも素晴らしい指揮者だったし、よく研究し、努力している。
このような伝統のある団体で、質の高い演奏にまとめあげていくことは、並大抵の努力では出来ないことだ。

中央大学マンドリン倶楽部の指揮者たちを見て、私も指揮を少し勉強してみようと思い立ち、斎藤秀雄著「指揮法教程」という専門書を買った。
私の母校のマンドリンクラブの指揮は、この斎藤秀雄の指揮法がベースとなっていた。
(下の写真は、学生時代に先輩が書いてくれたメモ。そして藤秀雄著「指揮法教程」の一部)











この指揮法の特徴は、打点が分かりやすいことにある。
マンドリン合奏でまず技巧面で最も重要なのは、音を合わせることであり、各奏者のビート(拍)のずれや、押さえのミスからくる音のずれを完全に無くすことにある。
押さえのミスからくる音のずれは、ハイポジションなどの難しいパッセージでよく起きる。
これは普段の練習で回避することができるが、ビート(拍)のズレは奏者自身の普段の練習もそうだが、指揮者のレベルと、奏者が指揮をよく見るかどうかにかかっている。
私の学生時代の先輩は、「リズムに弱いミュージシャンの十中八九は、ビートの感じ方、取り方に由来している。音楽においてまず最初にやるべきこと、また最重要なことは、全てのテンポでビートを持続できることである」と言っていた。
私も学生時代、マンドリン合奏を通じて ビートの取り方を徹底的に教えられた。

昨年の大学の演奏会の中には、指揮者を見ないで、殆どの奏者が終始下ばかり見ていた団体があったが、このような演奏で聴き手を感動させられることはない。
指揮も未熟であったが、聴き手に演奏を聴かせる以上は、満足感を感じられるように、もう少しの努力をしてもいいのではないか。
学生だからクラブ活動以外にもたくさんやりたいことがあるのかもしれないが、中途半端は良くない。
ちょっと言い過ぎかもしれないが、こんな活動だと社会人になっても学生時代のことを思い出すこともないであろう。
社会人になって30年経過したから言えることなのだが、学生時代は学生時代にしか出来ない、体験出来ないことを精一杯やった方がいい。

さて今年の抱負であるが、鈴木静一と藤掛廣幸の全曲鑑賞をやってみたい。
大学の定期演奏会にもできるだけ足を運びたい。関西地区の大学の演奏会にも行ってみたいのだが、実現できるか。
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