ＰＯＲ－１５塗布（２）

お盆休みに久しぶりに車の荷台を整理していたら、荷台の端が錆で腐食しているのに気付いた。
幌車なので雨が侵入し、発錆したと思われる。
以前記事にしたが、強力な防錆効果のあるＰＯＲ－１５いうアメリカ製の防錆塗料を塗布することにした。

まず発錆状況は下記の写真のとおりだ。












かなり深く腐食している箇所もある。
ワイヤーブラシでこすると、腐食した鉄片がボロボロ出てきた。
かなり重症だ。



このような救いがたい腐食面でもＰＯＲ－１５は強力な効果をもたらす。
ＰＯＲ－１５はむしろこのようなボロボロの腐食面を好むのだ。

写真がＰＯＲ－１５。



サランラップを蓋の下に敷いてから蓋を閉めないと、二度と開かなくなるから要注意だ。

紙コップに必要量を移す。



筆で腐食面に塗布する。
色は黒であるが気にしない。










腐食の激しい部分には、たっぷりと沁み込ませるように塗る。

これでまず２度と腐食が進行することはないであろう。

歌うことは人に何をもたらすか

先日新聞を読んでいたら、高校生の合唱の記事が載っていた。
知的障害がある高校生が通う学校で、音楽部を立ち上げ、朝日新聞、全日本合唱連盟主催の合唱コンクールの県大会に出場したことが紹介されていた。

知的障害を持っているがゆえに集中力が途切れるなどの困難を乗り越え、生徒みんながだんだんと上達していき、音楽が好きになっている過程が記されていた。

この短い記事を読んで感動したのは、顧問の先生の次の言葉だった。

「歌は自己を表現する力を培います。歌詞から感情をどう読み取るか、それをどう歌で表現するのか。合唱には一人一人に役割があり、「自分は必要な存在なんだ」と実感できる。歌は自分の体そのものが楽器で、人前で歌うなどの機会がなく、自己肯定感が弱かった生徒たちが自信をつけていく場になっています。」

「自分は必要な存在なんだ」　
そのとおりだ。心の危機で最も辛いことは「自分なんか必要でないんだ。自分なんか誰からも必要とされない、相手にされない人間なんだ」という感じ方であろう。
経験したことのない人には決して分からない感情だ。

思えば４０年近く前の中学３年生の時に、地区の合唱大会を目指して「木琴」という合唱曲を毎日、放課後の遅い時間まで残って練習したことが思いだされる。
人前で一人で歌を歌うことなど恥ずかしくて出来なかったが、合唱は違っていた。
４０年経っても、その時の練習風景、大会当日のこと、後で自分たちの演奏の録音テープを聴いて、みんなで感動したことなど、かなり克明に思い出すことができる。

歌うこと、音楽をじかに表現すること、それがとても幸福だった。
大会での聴衆は全く意識になかった。賞や結果など全く関係なかった。自分たちの音楽しか意識になかった。
それ以上、何も要らなかった。
長く辛い練習を乗り越え、ステージで歌えることが何よりも嬉しく、喜びだった。
みんなとつながっている、という感覚を感じた。

音楽を表現するとは、賞を取ったり、人に賞賛されるためにあるのではない。
賞を取ることを目標にすると大抵は失敗に終わる。
以前、全日本合唱連盟主催のコンクール全国大会の課題曲を全ての学校の演奏で聴き比べたことがあるが、表面的な上手さ、力強さで金賞を獲得していた学校の演奏はとても鑑賞できるものではなかった。
結局は金賞を取っても、人を心底感動させることは出来ない。

賞は結果である。特定の他人が、あなたの演奏の結果はこうでしたよ、というに過ぎない。
これほどはかなく、脆いものはない。

世界の巨匠、たとえばギターで言えばアンドレス・セゴビアが高い評価を得るため、名誉を得るために音楽を奏でる、ということがあり得るだろうか。
演奏に無意識にでもそのような気持ちが入っているならば、彼は巨匠と言われるまでにならなかったであろう。

結局、音楽とは、作品を通して演奏者に高い次元での感情的共有感をもたらし、そこから生じる凄まじいほどの精神的エネルギーの放出が、演奏を通して聴き手に非日常的とも言える感動を与え、作品の作り手、演奏者、聴き手のとの間に心の深淵での領域で共感を引き起こすものと言えるのではないか。


頭や理屈の世界をはるかに超えた、人間の根源的な領域での交流である。

合唱ではないが、上記のことをまさに感じる演奏会の録画がYoutubeにあったので、下記に紹介しておく。

演奏者：チョン・キョンファ（MENDELSSOHN VIOLIN CONCERTO in E minor - KYUNG-WHA CHUNG / SOLTI）



１週間後にＮコン全国大会が開催される。
運よく整理券が当たったので聴きに行きたいが、仕事が入る可能性も高く行けないかもしれない。
テレビで録画をしておこう。