緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

モーツァルト作曲 ピアノソナタイ短調 K.310を聴く

2017-08-20 21:31:26 | ピアノ
6月に聴いた太田キシュ道子のコンサート会場で買った彼女のCDの中に収録されていた、モーツァルトのピアノソナタイ短調 K.310がとてもいい曲だったので、しばらく繰り返し聴いていた。
モーツァルトのピアノソナタは3、4年前に、ヴラド・ペルルミュテールやリリー・クラウスの全曲録音を聴いていたが、正直、トルコ行進曲や幼い頃に姉の弾いていたわずかな曲を除いて記憶に残るものは無かった。
これは以前ゲザ・アンダが弾き振りしたモーツァルトのピアノ協奏曲を聴いた時もそうだった。
理由は恐らくベートーヴェンのピアノソナタのように深く強く精神に作用するものが少ないからなのかもしれない。

しかしこのピアノソナタK.310は好きになれる。
是非聴いて欲しいと思う曲だ。
典型的なソナタ形式の曲で、構成も比較的簡素であるが、素朴な旋律が何とも美しい。
古典派音楽の美の粋のようなものを感じる。

この曲がお盆休みに出かけたCDショップでかかっていたのを聴いて、太田キシュ道子のCDにあったのを思い出し、ペルルミュテールやクラウスと、手元にあるCDを繰り返し聴いてみたのである。

バッハやモーツァルトは比較的苦手な方で、組曲などを順に聴いていってもなかなか心に残らなかったのであるが、順番に聴くのではなく、印象に残る曲、いい曲だなと思った曲から入っていくような聴き方のほうがいいのかもしれない。
ベートーヴェンのピアノソナタだって第31番、第32番を聴いて感銘を受け、そこからどんどん派生していったのだから。
バッハのパルティータもマリヤ・グリンベルクの弾く第2番を聴いたのをきっかけに、第2番の聴き比べから他の組曲へと派生していった。

このピアノソナタK.310を聴くと、ベートーヴェンの初期のピアノソナタ、とりわけ第1番を思い出す。
ベートーヴェンも初期の作品は古典様式の要素が強かった。
ベートーヴェンはソナタ形式を最も豊かに発展させた作曲家と言えるが、後期の作品はロマン派音楽の勃興と重なり合う作風が感じられる。

ギター曲だとフェルナンド・ソルの作風がこのモーツァルトのピアノソナタのイメージに近いか。
ソルもいくつかのソナタを残したが、クラシック・ギターの分野で、いいソナタが少なすぎるのは残念だ。





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