緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

藤掛廣幸作曲「詩的二章」より第1章を聴く

2014-12-20 23:23:35 | マンドリン合奏
藤掛廣幸の「詩的二章」と題するマンドリン・オーケストラ曲に1週間ほど前に出会ってから毎日のように聴いている。
藤掛廣幸のマンドリン・オーケストラ曲の中でも初期の作品である。



1975年に「パストラル・ファンタジー」、1978年に「スタバート・マーテル」、1981年に「グランド・シャコンヌ」という傑作が相次いで作曲されたが、この「詩的二章」は1978年に作曲された。私が思春期のころであるが、藤掛氏は20代終わりの頃であろう。
「詩的二章」は第一章と第二章があるが、第一章「波と貝殻」はYoutubeで聴くことが出来る。第二章「捨てた種」はToutubeでは公開されていない。藤掛氏が編集したCDで聴くことができる。
第一章「波と貝殻」は先に述べたように1970年代に作曲された。
曲を聴けば1970年代の雰囲気が蘇ってくるのではないか。多分若い方には分からないと思う。
この時代は今までの日本で、最も感性や情緒面で最も活発な時代であった。
1960年代後半からこの1978年くらいまでに作られた、ドラマ、映画、アニメ、時代劇などには今改めて見ても素晴らしいと感じるものが多い。シンプルであるが心に受ける強さが現代のものとはけた違いである。
音楽も例外ではなく、この「波と貝殻」もシンプルな音楽であるが、何度も繰り返し聴いてしまう強い魅力をもっている。
シンプルな旋律を持つ音楽は山ほどあるが、聴き手の感情を強く刺激するものは少ない。
豊かな自然の美しさに触れた時の感動、思春期の多感な頃に、心優しい人たちの気持ちに触れて感じたもの、小説や詩を読んで感銘したこと、明日、朝起きて1日が始まるのが楽しみだと希望を感じるとき、この曲を聴くとそのような強い感情を感じる。70年代はそのような時代であった。私の人生の中でも最もいい時代であった。
1980年代に入り、クラシック作曲界は機能調性を取り戻した。調性音楽が復活しても、耳に心地よいが、軽く力の無い、聴くにもエネルギーを消費しない音楽が多くなったように感じる。

この「波と貝殻」は中条雅二の詩をもとに作曲されたと言われている。
マンドリンソロとマンドリン・オーケストラとのマンドリン協奏曲の形式で演奏されるが、冒頭のマンドリンソロはかなり演奏困難なようだ。重音を使っているからなのか。
なお、Youtubeでは女声のソロとの共演した録音も聴くことができた。この女声が素晴らしい。アマチュアの方なのだろうが、歌唱力がすごい。



下のCDは10年くらい前に藤掛氏の事務所から直接購入したもので、「詩的二章」の第一章と第二章が両方収録されている。
しかしCDを買ったときにはこの曲を聴いていなかったと思われる。

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