緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番を聴く (2)

2013-03-20 23:12:28 | ピアノ
こんにちは。
今日は天気予報では雨でしたが結局降りませんでした。
久しぶりの週半ばでの祝日でしたが、どこにも出かけずギター演奏などの趣味に没頭していました。
前回のブログではチャイコフスキーの名曲、ピアノ協奏曲第1番の録音を紹介しましたが、多くの録音があるなかで最も感動を与えてくれた演奏を3つ紹介しました。
1つ目はアルトゥール・ルービンシュタイン、2つ目はウェルナー・ハース、3つ目はマルタ・アルゲリッチでしたが、もう一人加えさせてもらいたいと思います。
その演奏者はペーター・レーゼルという旧東ドイツ生まれ(1945年)のピアニストです。
1966年の第3回チャイコフスキー・コンクールで6位入賞、1968年のモントリオール国際音楽コンクールで第2位になった経歴を持ち、日本にも何度か演奏旅行に訪れているようです。



さてその演奏ですが、初めて聴いたときはおとなしいな、という感じでした。派手な演奏を嫌う人なんだと思いました。しかし派手さや過剰な音がない割には何故か記憶に残る演奏です。最近聴き始めたのですが、もう何度も聴いています。
まず技巧的には細部まで決してごまかしをしない素晴らしいものです。第2楽章を聴けばそれがわかると思います。
そして決して技巧を前面に出そうとしていないです。第3楽章終わりのカデンツアをそれがはっきりわかります。
超絶技巧に聴衆が酔いしれて拍手喝采を浴びる魔力にとりつかれた奏者は、このカデンツアなどをマシンガンを打つような激しい速さで弾いていますが、レーゼルの演奏は完璧な技巧にもかかわらず抑制し、音楽(=原典)を優先して弾いていることに感心します。
またレーゼルはオーケストラとの調和にも最大限の注意を注いでいることがわかります。
このレーゼルという演奏家は、自らに厳しい修練を課してきたという感じがします。
そして音楽を決して自己中心的なものにしない、音楽のもつ魅力そのものを引き出そうとしているように聴こえます。
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