緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

2012年(第30回)スペインギター音楽コンクールを聴いて

2012-10-15 22:30:06 | ギター
こんにちは。
今日はとても気持ちがよくさわやかな1日でした。
さて昨日は年1回開催されるスペインギター音楽コンクールを聴いてきました。



第二次予選の途中から聴き始めましたが、日頃の睡眠不足と仕事の疲れやらで居眠り状態でした。
しかし本選はばっちり聴かせてもらいました。
以下に本選出場者の演奏の所感を、当日のメモ書きを元に述べたいと思います。
アマチュアなのでなるべく良いところだけを言いたいのですが、プロを目指している方もいるだろうから、少しだけ辛口の感想にしておきます。
なお今年の課題曲はタレガ作曲、アルハンブラの想い出でした。

一番印象に残り素晴らしいと感じたのは、自由曲をソル作曲「魔笛の主題による変奏曲Op9」で演奏した後藤さんでした。
トレモロの粒が揃っており雑音の殆ど無いきれいな音でした。情感を出す為に随所で音の出し方を工夫されていたと思います。ただテンポはもう少し速くてもいいのではないかと思います。今回の課題曲でベストのテンポと感じたのはのは最初に演奏した吉村さんでした。また私の当日メモでは最後の終わり方は良くないと書いてありましたが、はっきりと思い出せないのですが、テンポを落としすぎていたように感じます。
自由曲の魔笛の主題による変奏曲は今まで聴いた演奏の中で最も表現の幅が広く、活き活きと楽しさが伝わってくるものでした。序奏の音がとてもきれいでしたが、一箇所音を意図的に延ばした箇所があったのが唯一気になりました。
音の表現が多彩で今までに無いタイプの奏者だと思いました。

次に印象に残ったのは、自由曲をトローバ作曲「ソナチネ第1楽章」、アルベニス作曲「朱色の塔」を演奏した仲山さんです。
荒削りなところが未だありますが、力のある美しい音をホール全体に響き渡らせる能力と素質を持っている奏者だと思いました。
当日私は後ろの方の席で聴いていたのですが、6人の奏者の中で彼の音が一番響き渡っていました。
またミスが多かったのは事実ですが、ミスをしても不思議と音楽が壊れていませんでした。彼はいい指導者に恵まれるならばもっと良い奏者になれるのではないかと思います。
いい音楽をたくさん聴いて精進して欲しいですね。

第1位の栄冠を勝ち取った菅沼さんは審査員の講評にもありましたように、とてもスケールが大きく、いい意味で豪快な、今までにないタイプの演奏家だと感じました。
しかし悪く言えば音や表現が乱雑で、特に課題曲の音は汚く正直いうと感心しませんでした。
コンサートで力や個性を発揮するタイプだと思いますが、録音による演奏で聴き手の感情を揺さぶることができるような演奏も是非研究欲しいですね。

他の3人の奏者の演奏は、上手くまとまっていましたが、聴き手に強く迫ってくるものに欠けていたように思います。もっと音や表現に感情エネルギーを込めないと。

今回のコンクールを聴いて感じたのは、これまで多く見られたタッチが軽く流麗だが、聴き手の心に響いてこない奏法を採る奏者とは異なるタイプの奏者が出てきたことであり、そのことに対しては嬉しく思った。
奏者は皆若く、これからどう成長していくかが楽しみです。
音楽だけに固執せず様々な人生経験を積んで欲しいと思います。そのことが結果的に音楽に深みをもたらせてくれるのだから。
コメント