緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

フォーレの「前奏曲」ジェルメール・ティッサン・ヴァランタンの名演を聴く

2012-08-13 15:53:47 | ピアノ
こんにちは。
11日から夏休みに入りました。北海道の実家に帰省しているところです。
明日は姉が子供を連れて遊びに来るし、兄も帰ってきているので、本当に久しぶりに家族がそろいます。
昨日兄と久しぶりに酒を飲みに札幌大通りまで行ったのですが、そのついでにCDショップに立ち寄ったのですが、イギリスのレーベルのTESTAMENTの特売をやっていて、偶然にもフランスの女流ピアニストであるジェルメーヌ・ティッサン・ヴァランタンのフォーレのピアノ曲集、それも夜想曲と舟歌以外の曲集があることに気づき、迷わず買いました。

①セザール・フランク作曲
 ・前奏曲、コラール、フーガ
 ・前奏曲、アリア、終曲
 ガブリエル・フォーレ作曲
 ・9つの前奏曲 Op.103



②ガブリエル・フォーレ作曲
 ・4つのワルツ・カプリス
 ・6つの即興曲
 ・8つの小品 Op.84





ヴァランタンの録音は長い間夜想曲と舟歌しかないと思っていたので、昨日このCDを見つけたときには驚きでした。
ヴァランタンは1902年にオランダ人の父親とフランス人の母親との間にオランダで生まれ、後に彼女が12歳の時にフランスに行き、当時フォーレが院長を勤めていたパリ音楽院に入学し、フォーレの直弟子であるマルグリット・ロンに教えを受けたようです。
10代の終わりに大変優秀な成績で音楽院を卒業したが、22歳の時に結婚し、子供が生まれてから子育てに専念するために演奏活動を中断し、演奏活動を再開したのは、49歳になってからのようです。
このCDも1954年、1959年、1960年に録音されており、彼女が52歳から58歳の円熟期に録音されたものです。
彼女の録音を初めて聴いたのは随分前なのですが、とくかく録音の状態が悪く、こもったような音で、低音などベールがかかったようなはっきりしない音のせいかあまり印象に残らなかったんですね。
あとヴァランタンは女性でありながら非常にタッチの強い演奏をします。だから繊細さを求める人には合わないところがあるかもしれません。
彼女の写真を見ると腕が丸太のように太いです。
しかし今日改めてフォーレの前奏曲集を聴いてみると、録音が悪いのは変わらなく、力強くダイナミックさはあるが、非常に感性豊かに演奏しているのが感じられた。フォーレのこの曲の演奏の中でも正統的な演奏であり、作曲者フォーレの心情を良く理解した名演だと思います。
お勧めは第5番、第6番、第7番、第9番。とくに第9番は素晴らしい。9番の最後の和音は様々な精神的苦悩を乗り越えたフォーレの穏やかな気持ちが表出したものだと思う。ヴァランタンは見事にその気持ちを表現していると思う。
夜想曲も第9番から第13番まで非常に暗く、深く、内省的で聞く者の緊張を強いる曲であるが、フォーレの曲の真髄は彼の晩年、耳が聞こえなくなってきたこの時代に作曲された曲の多くに感じ取ることができます。フォーレほどピアノで人の深い精神性を表現できた作曲家はいないのではないでしょうか。
今実家の、動きが信じられないくらい遅いぼろパソコンを使っているのでCDの写真を載せられないですが、後で貼り付けておきます。

(下の写真は夜想曲と舟歌のCD)



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