緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

初めて買った輸入楽譜

2011-07-27 21:34:40 | ギター
こんばんは。
クラシック・ギターを始めて2年目の中学2年生の時に、ギターの
巨匠であるナルシソ・イエペスのレコードを初めて買いました。自分
のために自分のお金で買った初めてのレコードでもあります。
イエペスが未だ6弦ギターを弾いていた若い頃の録音ですが、聴いた
瞬間に凄い衝撃を受けました。タレガのホタなどはギターの演奏とは
思えなかったですね。イエペスのエネルギーが溢れていた、気迫に
満ちた演奏でした。



このレコードを毎日何回も聴きました。当時レコードは1年に1枚
くらいのペースでしか買えなかったので、とにかく何度も何度も集中
して聴きました。フィンガーノイズがどこで入るか、もうすみずみまで
全部頭に入ってしまいましたね。
このアルバムの中で一番好きな演奏は、フェルナンド・ソルの練習曲
ホ短調(OP.6-11)なのですが、中学時代の当時はエミリオ・
プジョールの熊蜂が弾きたくて、楽譜が欲しかったのですが、当時
発売されていた好楽社のギター・ピースの裏面の広告にこの熊蜂の楽譜
があり、通信販売で買えることがわかりました。



この熊蜂の楽譜は輸入楽譜なのですが、切手で買えるので封筒に料金
分の切手を入れて好楽社に送り、8日後に届きました。好楽社のギター・
ピースの裏面に載っていた金額が古い時のものだったので、料金不足
で差額の切手を送りなおしました。高校受験が終わった頃で、今まで
の私の人生の中で一番楽しかった頃のことです。



初めて買った輸入楽譜で、シンプルで紙質もざらざらしていましたが
日本製の楽譜には無い伝統を感じさせるものがありました。
値段は450円で送料は確か240円でした。
私は当時北海道に住んでいたので、輸入楽譜を手に入れるには通信
販売を利用するしかありませんでした。好楽社以外にも輸入楽譜の通信
販売をやっているところはあったと思いますが、この時代は好楽社しか
情報がありませんでした。
でもこの好楽社から輸入楽譜を買うことが高校時代の私の楽しみでも
ありました。高価なので1年に2冊くらいしか買えませんでしたが、
レコードで聴いて弾きたくてたまらなくなって、郵便局で料金分の
切手を買ってきては注文したものです。
ジュリアン・ブリームの超名演であるヴィラ・ロボスの12の練習曲
とブラジル民謡組曲のレコードを聴いて、マズルカ・ショーロの楽譜
を買ったり、ホセ・ルイス・ゴンザレスの演奏をラジオから録音し、
彼の弾くソレア(サーインス・デ・ラ・マーサ作曲)を弾きたくなり、
楽譜を好楽社から買ったものです。







この好楽社、私が社会人になったころ倒産なのか事業をやめたのか
わかりませんが、無くなっていることがわかりました。
私は就職と同時に上京したため、東京のギタルラ社などで輸入楽譜
は容易に手に入れることができたため、好楽社の存在も忘れていま
した。
ギターブームだった1960年代から70年代の初め頃は、この好楽社
のギター・ピースも相当売れていたと思われます。ピースの曲数
がとても多かったので、この時代の好楽社はすごく活気のある仕事
をしていたのではないでしょうか。
私が好楽社から輸入楽譜を買っていたころの好楽社のギター・ピース
の曲の多くはもう時代遅れという感じでした。でもスペインの有名な
U.M.E(ウニオン・ムジカル・エスパニョーラ)という出版社
やイタリアのベルベン社の曲をピースにするような貴重なこともして
いました。
ギター・ピースは全音も撤退しましたが、ギター・ピースでしか
手に入らない貴重な曲もありました(例えばシュテファン・ラックの
「クレンピルの主題による変奏曲」など)。
日本の出版社によるギター曲は曲集が多いですね。1曲ものは数が
少ないです。需要が少ない分野でのピースでは採算が合わないのだと
思います。
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