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世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

私の半分は林真理子先生の作品でできている

2015年09月07日 | Weblog
会社帰りにデパートへ。
資生堂の下地「ホワイトルーセント」(アイボリー)を購入。
このシリーズはドラッグストアでは販売していない。

私はこの下地を15年ほど愛用している。
店頭で購買履歴を訊くと3ヶ月に一度、購入しているらしい。

給与が上がらないのに税金だけ年々多く取られ、手取りは減る一方だが、化粧品のランクだけは落とせない。
高校時代にセザンヌ化粧品を使用し始めてから、価格的にずっと右肩上がりで来た。来てしまったのである・・・。


アルティミューン パワライジングの試供品もいただいた。
目元のしわを撃退できるらしい。ありがたや~。





店員さんは秋を意識したボルドー色のマニキュアをしていた。
制服も襟元に企業イメージに則した椿の飾りをあしらってて、なんとも優美である。
「少々お待ちくださいませ」と店員さんに言われ、会計を待つ間、卓上の美容液や化粧水のサンプルに目をやる。


化粧品会社を舞台にした林真理子先生の小説「コスメティック」を思い出す。


原作も好きだが、葉月里緒奈主演の映画も好きで、20代後半は何度もTSUTAYAでレンタルして観た。


広告業界から化粧品会社に転職し、切磋琢磨して企業のブランドイメージであるプレスに伸し上がる主人公の女性にいつも元気をもらっていた。
TSUTAYAに返却するときはいつも主人公と自分を重ねていた。
重ならない部分・・・主人公が働く職場がビルの高い階にあるのに対し、私が働いているフロアはそうでない・・・という部分は妄想力でカヴァーしていた。
本当、若かった。いろんな意味で。

なんだかそんな自分が懐かしい。

凪のような日々を送っている今、37歳。
停滞期なう、なのかもしれない。

作中、主人公が言う。
「私はもう一回這い上がることができるんだろうか」
・・・それ、今の自分に当てはまっててドキっとする。

また、作中、たたき上げのおばちゃん社員が
「化粧品はおもろい。原価はせいぜい1,500円くらいの美容液を、女は15,000円、もしゅうはそれ以上の金額で買う。しかも分かっとって買う。なんでなら、女性を綺麗にするんがその『美容液』じゃぁのぉて、『わしゃぁ15,000千円の美容液をつける女なんじゃ』っちゅう気持ちが女性を綺麗にするから」
と言うのだが、その台詞がずっと胸に突き刺ささっている。


化粧品のランクを下げないでいられるよう、やはり現状維持でも、日々やるべきことをやり続けるしかないのだろう。
たとえその原価が安いと分かっていても。
化粧品って面白いなと改めて思っていたら、店員さんがお釣りをもってやって来た。

商品が入った資生堂の赤い紙袋を受け取り、店員さんの笑顔に背を押されて駅に向かった。
今日購入したものは、下地だけではない。やる気もこの赤い袋に入っている気がする。

それにしても・・・先日、汐留に行ったときもそうだったが、現実世界がいつも林真理子先生の作品とリンクする。
私の中の林真理子先生血中濃度、高すぎ。

私の半分は林真理子先生の作品でできているのかもしれない。
バファリンの半分がやさしさでできているように。