世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

読書録

2014年04月08日 22時11分20秒 | Weblog
最近読んだ本。

★「凍河」(五木寛之)

五木寛之の小説って読んだことがなかったなと、古本屋で見つけて購入。
精神科医の青年・竜野ツトムと精神を病んだ患者・阿里葉子の話。40年前の話でファッションや時代背景などに若干の古さを感じつつも、下巻に入るとするすると読み進められた。ツトムはバイクを乗り回すやんちゃ君。転院した先で葉子に出会い、次第に心を惹かれていく。その惹かれっぷりが、なんちゅうか、超ストレートで、心の中で「待て待て待て待て!!落ち着け、ツトム!」と突っ込まずに入られなかった。あの時代ってそういう熱い時代だったのだろうか。戦中に医院長がいた731部隊等のこと、精神科の隔離病棟のことなども書かれてあり、興味深かった。爽やかな感じ。あと散りばめられた語彙の豊かさに唸った。



★「紙の月」(角田光代)

普通の銀行勤務のパート社員が莫大な金額を横領する話。
ドラマと平行して読んだが、ラストのぼやかしっぷりは小説のほうがモヤモヤする。
ふとしたきっかけで人生が狂うことってあるが、これはその典型だろう。そのきっかけが普段我々が目にしたり、何気なく過ごしている日常にあることに潜んでいることの恐怖といったら。
角田光代の犯罪の話って、被害者の心情が自然で、どれも説得力がある。今回も巧みだった。




★「猫と魚、あたしの恋」(柴田よしき)

柴田よしきの小説を以前読んで読みやすかったので、古本屋で購入した。
オムニバス形式の恋愛小説だが、ほとんど後味が悪くてぞっとする。

後味が割とよかったのは「化粧」
姑が転がり込んできて、ギクシャクする夫婦。夫の浮気が決定打となり、離婚。妻は、息子を庇う姑に「お義母さんはもう女じゃないからそういうことを言えるのよ」と暴言を吐いて実家に帰る。やがて、独身時代に敏腕の化粧品販売員だった妻は再就職で化粧品会社のプレスになる。ふとしたきっかけで認知症になった元姑の顔を化粧することに・・・。化粧をすることの原始的欲求、女性であることについてが深く書かれていた。



明日は待ちに待った林真理子先生のサイン会。
新刊、楽しみ!!

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高い天井

2014年04月08日 21時28分56秒 | Weblog
午前中、吉熊上司の力を借りて、衣替えの制服を発送!!
春の日差しの中、台車を使って他の建物に制服を持って行く。
隣接する公園の桜を見て
「散っちゃいましたね」
と感想を述べながら、ガラガラ・・・。しとぴっちゃんしとぴっちゃん状態。

発送業務をしていると、社内で信頼の厚い吉熊上司に、皆が手を休めて寄ってくる。
某次長とか、「お!久しぶり。何してるの?」と堂々と近づいてくるし。どんだけ人気者なんだよ。レアキャラすぎ。ワロタ。
仕事が正確で優しくてみんなに愛されている吉熊上司。25年の会社員生活でずっとそうだったのだろう。
信頼って、ローマは一日にして成らずなのだなと思った。


自席に戻り、発送した分を台帳に記入。魂をPCに吸い込まれそう。
夕方はリリースされた社外記事を元に数字を記入。

まだ稟議決裁の処理が終わっていなくて残業をした(経理が待っているので)。
社長に
「制服、大丈夫ですか?」
と訊かれた。

先日の心療内科でクマ医師が
「ご心配をおかけしてすいませんという姿勢で対峙すれば角が立たないんでは?」
と言っていたので、そのようにした。
「社長、色々とご心配をおかけしてすいません。新卒・中途の衣替えも完了しました」
と言うと、
「いえいえ」
と。
「会話」が成立したのでよしとしよう。ありがとう、クマ医師。


残業後、経理部O主任と一緒になった。彼女は私の1期上で1才年下。
14,5年働いて、この手取り!?と思ったら、もうやりきれませんよね・・・という、もう何度呟いたか分からぬことを話しながら駅まで向かう。彼女も私もクタクタだ。まだ火曜日なのに。また、この会社、蟹工船なんじゃね?と、これもいつか話したようなことも、ため息混じりに出た。花の匂いが漂ってきそうであたたかくてワクワクするような春の宵に、こんな話は似つかわしくないと思いながらも吐いて出る愚痴は芋づる式にとまらない。

また、忙しすぎると精神的に余裕がなくなって、他人に優しくなれないと言う彼女。激しく同意。見て見ぬ振りをしてスルーしてしまうことが多くなった。それが良いのか悪いことなのかは分からない。

吉熊上司はたぶん社内で一番忙しい人だ。なのにあんなにみんなの信頼を得ている。それはきっと彼が忙しいときにでも他人に優しくしていた結果だと思うと、もう、こんなプチ祭り状態でアワアワしてしまう自分はまだまだだと思う。

気付けば入社15年目に突入。

幸い、私の上司は天井が高い。
部下である私は思い切りジャンプできるのだと思うと、もう少し頑張れるような気がした。