晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

伊坂幸太郎 『重力ピエロ』

2011-02-16 | 日本人作家 あ
世間一般に知れ渡っている所謂「売れっ子作家」の作品を読んで、
「面白かった」と書くくらいだったら、こんな素人書評ブログなんて
やめちまえ、なんて思われる方も多いでしょうが、世間で評価され
ている作品を「オレはそこら辺の読書家とは違ってみんなが評価して
るけど否定できるぜ」とこき下ろすよりは、まあマシでしょう。

つまり、この伊坂幸太郎という作家の作品について何かを書こうと
すると、美味しい料理にとやかくコメントはいらず、ただ「美味しい」
というのが最高の評価とすれば、ただ「面白い」と。

物語の主人公「私」こと泉水には、父親違いの弟がいます。再婚で
連れ子だった、ということではなく、なんと、泉水がまだ赤ちゃん
だった頃に、見知らぬ男に暴行されたときの子が、弟の春なのです。

この犯人は逮捕されたときに他に数え切れない女性暴行をおこなって
いたのですが、逮捕当時は未成年。

泉水は遺伝子関連の会社で働き、春は定職につかず、街の落書きを
半分ボランティアで消す”仕事”をしています。母はすでに亡くなって
いて、父はというと、末期がんで入院。

ある日、泉水は弟の春から妙なことを教えられます。それは「兄貴の
会社が近いうちに放火される」というもの。
というのも、ここ数ヶ月、市内そあちこちで放火不審火が相次いで
起こっているのです。
春の推測によると、その放火現場の近くには意味不明な落書きが
あり、泉水の働く会社の入っているビル近くにも同じような落書き
があったのです。

弟の予言とおり、ビルの物置が燃やされていました。そして春は
次の放火現場をまた予測します。落書きと放火の関係性とは。
「あなたの弟は変なんです」と忠告してくるなぞの女性、入院中
の父は放火犯人を推理、そして泉水は、かつて自分の母を蹂躙した
憎き男をいまだ探していて・・・

なんといいますか、緩急のバランスが素晴らしいんですね。
会話のなんともいえないユーモアと、引き締めるところはギュッと。
読んでいて、疲れません。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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随分前に読みました (こに)
2011-02-17 09:46:11
確か、映画化されるというのでその前に読んだかと思います
トラバを送ろうと思ったのですがありきたりの感想しか持てなかったからか記事がありませんでした

どうこう言わずに楽しみましょうという世界ですよね
連続婦女暴行犯など、人間としてどうなの?キツイ部分もありますけれど
返信する
Unknown (ロビタ)
2011-02-17 15:48:52
こにさん
そうですよね、これだいぶ前の作品です(^^;

これに、もうひとつふたつピリリとくるアクセントや、もうちょっと考えさせられる部分があると、ただの「面白い」から一段上に行くんですけどね。
返信する

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