晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

浅田次郎 『お腹召しませ』

2014-08-01 | 日本人作家 あ
これは個人的な先入観?偏見?といってしまってはオーバーですが、
時代小説を(本職)としている作家が書く現代小説は、やはりどこか
文のタッチが(時代がかってる)といいますか、そして、現代小説を
書く作家が書く時代小説は、文のタッチが(時代がかってない)ように
思うのです。

どっちが良い悪いというわけではなく、なんていうんですかね、その
作家の”クセ”みたいなものがあるんでしょうか。

さて『お腹召しませ』ですが、短編が6編、表題作の『お腹召しませ』
は、江戸屋敷勘定方の高津又兵衛が、切腹しろとつっつかれています。
何がどうしてそうなったのかというと、入り婿の与十郎が、藩の公金
を盗んで吉原の女といっしょに”消えて”しまったのです。

さて、上役の評定の結果、家禄召し上げとなるのですが、それは又兵衛
困ります。そこで代わりといってはなんですが、又兵衛が切腹をして、
孫を後見人として預け「このたびの不始末は私の責任にて、一命を以って
お詫びし、孫に家門相続してあげてください」と・・・

家では、夫に逃げられた娘、そして長年連れ添った妻までもが、早く
腹と切れ切れとばかり。親友に介錯を頼むも、俺に人殺しさせる気か
と断られ、さて又兵衛どうする。

その他、与力が勤番中に突然消えた、これは”神隠し”か?という
「大手三之御門御与力様失踪事件之顛末」、”斜籠”という謎の
儀式を訓練させられる殿様の「安藝守様後難事」、自分の女房が国元
で浮気をしているという話の「女敵討」、幕末、その名も”浅田次郎
左衛門”という与力の話「江戸残念考」、そして、明治になって荒廃
した武家屋敷界隈で多発する夜鷹殺し事件「御鷹狩」。

それぞれ、本編とは別にプロローグとエピローグがあって、これもまた
面白いです。







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