晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

遠藤周作 『深い河』

2008-11-07 | 日本人作家 あ
遠藤周作といえば、年齢いってる人には「♪ダバダ~ダ~」の
コーヒーの人でお馴染み。あと、竹中直人氏のモノマネ。

正直、遠藤周作と五木寛之は読まず嫌い。
機会があれば、いつでも読めるし、いつか読もう、と。

月に1回か2回は本屋に行って、そのつど5冊くらいまとめ買い
をするのですが、たまたま目に止まった「深い河」という作品。

早速読み始めました。のっけから妻が病床に伏せて残り少ない命
を共に過ごす中年男の話。そして、妻は他界。うーん、最初の章
ですでにいい話だぞ。

その男はインドのガンジス行きのパック旅行に参加。
パック旅行にはさまざまな人がいて、その人たちはそれぞれの
目的があって、旅行に参加するのです。
旅行に参加するに至った経緯が、各章で説明されるのですが、
文中の世界に引き込まれる。

中に、決して押し付けがましくない程度に「神とは何ぞや」と
いう問いが読者に投げかけられます。
敬虔な信者と無神論者では、この問いには赤道直下と南極くら
いの温度差があります。
ヨーロッパの宗教観と、一般的な日本人の持つ宗教観の違いと
いうのもさらりと理解できます。

神をありふれた存在として「玉ねぎ」と表現する日本人のキリ
スト教の信者で、フランスの修道院で修行する男が出てきます。
一方、信仰というものを眉唾で見る、物質的豊かさを享受され
つつも、心の充足感は満たされない女が出てきます。
男は、なんやかやいろいろあって、ガンジスにいるという事を
女は知るのです。

「玉ねぎ」と表現することが冒涜なのか、親近感からくるもの
なのか。解釈の違いで人は人を貶めることもあるし、殺すこと
もあります。

ガンジス川は、沐浴をするし、死体を流します。
それをどのように捉えるかは解釈の違いでしょう。

異文化の理解。
以前、某カフェで、熱い紅茶をズズズ、と音を立てて飲んでいる
年配の女性を、汚物を見るような目で見ていた外国人。
おいおい、ここは日本だぜ、熱いものを熱いうちにいただくのが
この国では礼儀なのだよ、と説明してあげようと思いつつも、こ
ちらは時間が無かったので断念。残念。

そんなことを思い出したのでした。

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2 コメント

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Unknown (takuyasu)
2008-11-09 18:44:09
今晩は。この度は私のブログへコメントをありがとうございました。

遠藤周作と言えば「狐狸庵」というあだ名を思い出しますね。作品は「海と毒薬」を読みました。あとは確かエッセイを一冊。エッセイはなかなか面白い視点だな、と割と楽しく読んだ記憶があります。「海と毒薬」は実際に起こった事件を小説にしているので、シビアでちょっとゾクリとするような描写がありました。他の作品も、と思っているのですが確かにいつでも読めるかな、という気はしますよね。

五木寛之も昔エッセイを何冊か読みました。彼の若いころは中々に壮絶な部分もあり、興味深いですよ。
返信する
Unknown (ロビタ)
2008-11-12 17:57:42
ご訪問ありがとうございます!

そうですね~遠藤周作はエッセイも有名。
これからは読まず嫌いはやめて、新しい出会いを
求めたいと思いましたね。
返信する

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