晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

佐伯泰英 『吉原裏同心(七)枕絵』

2017-10-14 | 日本人作家 さ
秋ですね。読書タイムは基本的にベッドに入って
寝入るまでの1時間ぐらいなので、ついこの前まで
の熱帯夜ですと、本を読むのもウンザリするほど
でなかなか問うブログの更新も捗らなかったので
すが、朝晩ヒンヤリとしてきまして、こうなって
きますと読むスピードも上がってきて、更新ペース
も上がってくる・・・はず。

さて、裏同心。今回のテーマは「枕絵」。「春画」
とも言いますが、ようはエロ絵画。

吉原の用心棒(裏同心)、神守幹次郎は、髪結床
に行きます。亭主と雑談中に「そういや、老中様
に禿(かむろ)を贈ったんですが、今頃どうして
るんですかねえ」と。

この時代から十年以上前、現老中の松平定信が
白河の養子になって、いわば(飛ばされた)の
ですが、この背景には、当時の老中、田沼意次
が若くて優秀と評判だった田安家の定信青年を
恐れて、という噂もありました。

髪結いの亭主の話によれば、定信が白河に行って
数年後に吉原が禿(花魁になる前の少女)を贈った、
というのです。定信は徳川吉宗の孫にあたります
ので一応は(将来の将軍候補生)なので、吉原と
しては「早目に唾をつけて・・・」ということだ
ったのでしょうか。

吉原に着いた幹次郎は、吉原会所の四郎兵衛に
「ちょっと白河まで行ってほしい」と頼まれます。
白河といえば、さっきの髪結いの話に出た老中の
松平定信の藩。

白河までの旅の目的は、松平定信の側室(お香の
方)を江戸に呼び寄せたいのですが、秘密裏に、
とのこと。
この(お香の方)こそ、吉原が贈った禿で、白河
に向かった当時、何者かに襲われて命からがら城
まで着いたそうで、今回も、定信に追いやられた
旧田沼派の残党が刺客を用意しているはずで、前
よりもさらに危険。しかも道中に、幹次郎の妻の
汀女も同行するというのです。

幹次郎と汀女、吉原会所の仙右衛門、前作「遣手」
で信州行きにも同行した宗吉の4人でさあ白河へ。
道中、一行が泊まっていた宿屋でいきなり火事に
遭ったり、(女六十六部)という女性と出くわし
たり・・・

白河に行く前に、幹次郎と汀女のかつての同僚、
足田甚吉が結婚するのですが、その仲人をやる
ことになります。で、甚吉と結婚相手(おはつ)
はおはつの実家に挨拶に行ったのですが、ふたり
とも帰ってこず、幹次郎は吉原会所の若い男と
江戸郊外の戸越村へ・・・

そのほかにも、吉原内で秀次というからくり提灯
の職人が殺され、秀次の部屋を捜索してみると、
数枚の枕絵が出てきます。どうやら秀次は襲った
女性の枕絵を描いて、それで脅すという卑劣な男
で、そうなってきますと容疑者は枕絵に描かれた
うちのだれか・・・

このシリーズで、幹次郎はたまに俳句を詠みます。
妻の汀女は吉原で遊女たちに書や俳句を教えていて、
幹次郎は汀女に「ヘタですが・・・」と披露します
が、そこは年上女房、「幹どのらしく素直な句です」
などと褒めてくれます。

テレビ番組でタレントが俳句を作ってビシバシと
ダメ出しをする(毒舌先生)こと夏井いつきさんは
どういった評価をするのでしょうか、ちょっと気に
なります。


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