やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

宮本文昭さんの引退

2007-04-01 | 音楽を


オーボエ奏者の宮本文昭さんが、この3月末で引退をされた。
57歳。
日本でも最高峰の、世界でも屈指の奏者です。
連日のやうに開催されたファイナルコンサートは、超満員だったやうです。

先日、テレビに出演してゐた姿を少し見て、
「ええかっこしい!、なんです」と笑ってゐる姿が素晴しかった。

一度、オーボエ奏者たることを辞めて、
現在の大学の教授と、ディスクジョッキーと、そして、指揮者をめざすといふ
(すでに、小澤征爾氏についてゐるといふ)。
ケルンやフランクフルトのオーケストラに在籍してゐましたから、
小生も、東京でのそれらのコンサートを聴いた時に、その姿を見た覚えがあります。
オーボエ奏者では、ハインツ・ホリガーといふ、神の化身のやうな存在がありますが、ホリガーもまた、指揮に手を染めてゐました。
小生が敬愛するルドルフ・ケンペも、指揮者になる前にドレスデンでオーボエを学び、ライプツィヒのオーケストラでオーボエを吹いてゐましたから、そのあたりの共通する流れがあるのかもしれません。

宮本さんのディスクは、幾つかの協奏曲のものや、バロックもの等が棚にありましたが、ドイツ・バッハ・ゾリステンの一員として、ヴィンシャマンの指揮で録音した、J.S.バッハの「フーガの技法」を聴きました。
さう、ヴィンシャマンもまた、屈指のオーボエ奏者でした。

「フーガの技法」の演奏としては、グスタフ・レオンハルトのチェンバロによる演奏に限ると思ってゐますが(あの、数百年を持ち堪へた家屋のやうな、厳粛な絶対の美しさ! の演奏ー)、
オーケストラ版での演奏は、も少し浪漫的な印象になり、そこでのオーボエの存在はかなり大きなものになります。

30年以上も前の録音。
宮本さんは、まだ20台。
最近のやうな、艶が音色にはありませんが、それでもストイックな響きを残してゐます。

バッハ最後期の作品。
唐突に、音が止まる、最後の未完のフーガは、オーケストラ版の演奏で聴くと、
次の時代の音楽が少し見へてくるやうな気がします。


宮本文昭さんの公式のHPは こちらにあります。